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サブマリン  (ねこ3.8匹)

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伊坂幸太郎著。講談社文庫。

家庭裁判所調査官の武藤は貧乏くじを引くタイプ。無免許事故を起こした19歳は、近親者が昔、死亡事故に遭っていたと判明。また15歳のパソコン少年は「ネットの犯行予告の真偽を見破れる」と言い出す。だが一番の問題は傍迷惑な上司・陣内の存在だった!読み終えた瞬間、今よりも世界が輝いてみえる大切な物語。(裏表紙引用)
 
わーい、「チルドレン」の続編!
 
陣内は伊坂作品ではちょこちょこ出てくるキャラで、多分1番人気のキャラなんじゃないかと思う。かくいう私も。でもいつも小出しの友情出演だから…こういうふうに「陣内物語」として出てくる贅沢な作品は本当に久しぶり。陣内節、堪能したあ~。
 
陣内は武藤と同じ家裁調査官で、未成年の犯罪者(って言い方はしないのかな)の更生や調査が仕事。今回出てくるのは無免許運転で歩行者を轢き殺した棚橋、ネットで脅迫を繰り返していた小山田。何を聞いても「はい」しか言わない棚橋にも、賢ぶってる小山田にもイライラしたなあ。親にも。棚橋には棚橋の事情があるわけだけど、サラっと淡白に描いているテーマは出口がなくて重い。人を撥ねた人間をなぜ撥ねてはいけないのか?脅迫をするような人間を粛清したら人の役に立っているのではないのか?など。それに対する陣内の真面目な言葉が響く。普段ふざけたことばっかり言ってるからこそ引き立つんだろうな。でもちょっとあっさりしてるな。「チルドレン」みたいな短編集のほうがいいかも。
 
もう続編は出ないそうな。これからは新作の数々の中に陣内を探すしかないのか。。