すべてが猫になる

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作家の人たち  (ねこ3.7匹)

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倉知淳著。幻冬舎

 押し売り作家、夢の印税生活、書評の世界、ラノベ編集者、文学賞選考会、生涯初版作家の最期……。可笑しくて、やがて切ない出版業界――!?本格ミステリ作家が本格的に”ふざけた”ありそうでなさそうで、やっぱりありそうな!?出版業界内幕小説。(紹介文引用)
 
倉知さんの新刊。
 
発売前にタイトルだけ見て「エッセイ?」と思ったのだけど違った。ブラックユーモアを交えた、作家をテーマにした短編集。
 
文学賞や編集者の裏側を描いている、と言ってはいけない気がする。それぐらい「冗談」の域のものばかり。押し売り作家は売れない作家がストーカーになる話だし、書評家は悪魔が出てくるし、文学賞選考会は芸人の描いた本しか売れなくなった世界を描いたものだし。基本、「ありえない」面白さかな。多少は現在の出版界を皮肉ったりもしているけれど、どこまで本気にしていいのか分からない。倉知さんご本人が完全にふざけただけなのでごめんなさいと書いてあるし。倉知さんがモデルなのかなっていうキャラクターも多いけれど、自虐系なので「そこまで自分を卑下しなくても」と思わなくもない。倉知さん、別に不人気作家じゃないしねえ。
 
まあでも、するすると読みやすいし楽しめたかな。オチが読みやすいものが多いけれど、まあ倉知さんの箸休め的な立ち位置の作品だと思えば。