すべてが猫になる

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夜がはじまるとき/Just After Sunset  (ねこ4匹)

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スティーヴン・キング著。白石朗ほか訳。文春文庫。

 

悲しみに暮れる彼女のもとに突如かかってきた電話の主は…愛する者への思いを静かに綴る「ニューヨーク・タイムズを特別割引価格で」、ある医師を訪れた患者が語る鬼気迫る怪異譚「N」、猫を殺せと依頼された殺し屋を襲う恐怖の物語「魔性の猫」ほか全6篇を収録した最新短篇集。巨匠の贈る感涙、恐怖、昂奮を堪能ください。(裏表紙引用)
 
先に発売された短編集「夕暮れをすぎて」と対になる作品集らしい。単行本「Just After Sunset」の前半に「夕暮れ~」、後半に本書、と言えば分かりやすいだろうか。
 
「N」
死んだ精神科医が残した、強迫性障害患者Nの詳細な記録。精神科医の妹が幼馴染に宛てた手紙という形式を採っていてそれが生きている。Nの異常な数字へのこだわりが徐々に精神科医の内部にまで侵食してしまい、やがて…。ここまで広がるか。
 
「魔性の猫」
短編で映画化されている作品。殺し屋に依頼されたのは呪われた猫を殺せという異様なものだった。モルモットとして殺された何千匹もの猫の恨み。その想いがたった一匹に集約されたからここまでおぞましいことになったのかな。。グロ。
 
ニューヨーク・タイムズを特別割引価格で」
売り文句の一つ、「感涙」に当てはまるのはこの作品だろうな。感想を廻るとこれが圧倒的人気のよう。飛行機事故で死んだ夫からかかってきた電話。これが死者の予言という面白さだけに留まっていないのがすごい。タイトルが秀逸。
 
「聾唖者」
聾唖のヒッチハイカーに打ち明けた、妻の浮気と不正。さらにそれを神父に打ち明けるという構成がうまい。もしかしてそうじゃないかな?と思わせてさらに一段先まで話が転がっていくのが面白かった。これ、皆悪いな。
 
「アヤーナ」
瀕死の父の病室に突然現れキスをした盲目の少女。それから病状が回復するという定番の展開から、その能力が別の人に乗り移っていくところがなかなか憎い発想。あの元海兵隊員は誰だ??
 
「どんづまりの窮地」
おぇ~~~~~~~( ×m×)
おっえぇぇ~~~~~~~。。。
この世で1番気色悪いお話を読んだかもしれない。。。説明するのも嫌だが、恨まれて古い仮設トイレに一晩閉じ込められた男の悲劇を描いている。トイレが傾いていて中で倒れてしまう、汲み取りは長年されていない、灼熱。もうこれだけで想像の域を越えた。。この男の脱出方法に耐えられる読者は何人いるだろう。。げろ。おえ。
 
 
以上。
最後はともかく(おぇ。。)。。キング短編集は9割方読んで来たが、本書が1番面白かったかな。ハズレがないし、パターンが一定じゃないので飽きない。ちゃんと怖い。ラストは読まなくていいんで、よろしければどうぞ~。