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狩人の悪夢  (ねこ3.8匹)

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有栖川有栖著。角川書店

 

人気ホラー作家・白布施に誘われ、ミステリ作家の有栖川有栖は、京都・亀岡にある彼の家、「夢守荘」を訪問することに。そこには、「眠ると必ず悪夢を見る部屋」があるという。しかしアリスがその部屋に泊まった翌日、白布施のアシスタントが住んでいた「獏ハウス」と呼ばれる家で、右手首のない女性の死体が発見されて…。臨床犯罪学者・火村と、相棒のミステリ作家・アリスが、悪夢のような事件の謎を解き明かす!(紹介文引用)
 
火村シリーズ第24弾~。長編キター。ガマンできずに借りてしまった…。ぶ、文庫出たら買いますよ^^;
 
正統派のクローズドサークルもので、分厚いしなかなか読み応えがあった。アリスが東京で人気ホラー作家と対談することになり、それが縁でホラー作家の京都にある「悪夢を見る部屋」がある家に招待されたがその作家先生の隣の家で殺人事件が起きるという話。もちろん火村さん臨場。
 
殺人現場となった、元作家助手(故)の青年の家で殺されていた女は何者なのか、なぜ手首を切断されていたのか、被害者は何を捜していたのか。当日落雷で道を塞いだ大木は事件にどういう影響を与えたのか。そしてさらに空き家で見つかった容疑者と目されていた男の死体からは手首が持ち去られていて…と、謎てんこ盛りで頭がこんがらがる。そこを火村さんが実にていね~~~いに論理的に解明してくれる。特別アクロバティックな推理や意外性はなかったけれど、火村さんとアリスの「犯人許すまじ」な気迫が地味ながらも伝わってきてアツかったな~。特に犯人を追い詰める場面では、火村さんが休憩と称して退出、アリスが謎解き役にまわったりするし。じわじわと獲物をいたぶるように狩りをする火村さんのやり方は、自分が犯人だったら同じようにイライラするかもね。。
 
「仮説を立てるたびに助手に披露して意見を求めてきた、ずっとこれで上手くやってきたじゃないか」アリスのこの台詞には泣けた。そして片桐さんめでたいな(TーT)。