すべてが猫になる

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動く家の殺人 (ねこ3.7匹)

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講談社文庫。


「家シリーズ」というらしい(笑)。


信濃譲二が、劇団「マスターストローク」の制作を担当することになった。
ひとくせありそうな劇団員達の確執、過去に気をとられながらも、
順調に上演初日を迎える。
そして舞台上で起きる惨劇。信濃は犯人を指名できるか?


みなさん、これは読まれてますよね?ね?(私の周辺のぶろぐ友達の方々への呼びかけ^^;)
ということで、ネタバレします。↓未読の方は絶対に読まないで下さいね。














いきなりのプロローグで、信濃譲二が死亡!えーー!!
……とは思っても、探偵が死んだとみせかけて実は生きていた、というのは
ミステリの常套手段。騙されないぞ、と意気込んで読みはじめました。

それはひとまず置いといて。

信濃譲二が語り手であることに驚愕しました。個人的に、初期での譲二は私はかなり
好きで、このハードボイルドさと少しの茶目っけがよだれものだったのですが。
イメージががた落ちしました。読めば読む程。こんなつまらない人間だったのかと、
(頭は切れても)もう冷め冷めでしたわ。恋なんてしちゃうし。探偵なら探偵らしく、
プラトニックに徹せ!と自分勝手な憤りを感じてしまいました。

あ~あ、これもハズレかなあ……などとナメきり、寝転がって読んでいたら。

なーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!(がば!)←起きてみる

やっぱり生きていた!あ、いやいや、違う!驚くところはそこではない。
いくらシリーズ最終とはいえ、生きているとは思っていた。が。
あの人物が信濃の偽物だとは露ほども思ってませんでした。。。
あんなに違和感を感じて読んでいたのに!!
読者というものは勝手なもので、思い入れのあるキャラに裏設定のようなものを
自分で作っていたりする。「譲二ならそう言いそう」とか、行動などに「ああ、それって
譲二だよね」とまるで実在の人物かのように理解してしまう(でも実は勘違い)。

だからこそ、(ちなみに自分はこのトリックは初めての経験ではない)
このトリックは、ある程度の知名度のあるキャラにしか有効ではない、と思っていました。
少なくとも、本作が初読の人間はトリックを読むのが不利ではないかと。
(理論ではなく、第六感に近いもので見破る場合)
なのに。

そういう意味でですね、大胆なことやったなあ、歌野氏。と感心した次第で。
いや、しっかり騙されておきながら何ですが。


ところで、私、信濃譲二の事嫌いになりました。
なんなんだ。ホームズを気どってるのか。ぷんぷん。

ついでに、読後感も悪いぞ。


一般的には「動く→長い→白い」でしょうが、
個人的には「長い→動く→白い」の順で好き。こいつはトリックを最重要視しないんだな、と
そろそろお気づきでしょうか皆様^^。