すべてが猫になる

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夢幻巡礼 (ねこ3.4匹)

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講談社文庫。


チョーモンインシリーズ第4弾。
……ですが、本作は番外編であり、ちょっと本来のレールから外れた雰囲気の
作品。何といっても、シリーズ主要人物が名前しか登場しない。例外は能解警部ですが、
登場しているといってもあくまで主人公の心理を動かすキイの一部分でしかないのです。

じゃあ読まなくていいかというと、絶対そんなことはありません。
本作のみの骨子となっているテーマは「母子癒着」であり、警察官でありながら
連続殺人鬼という奈蔵渉の心理分析(自己)であります。しかし、これがまた
神麻嗣子達の後々にかかわってくるらしい。
詳しくは伏せますが、あとがきにあるようにこの作品自体がチョーモンインシリーズの
結末のための大きな伏線だとか。

だったら本シリーズを追ってない人には意味がわからん作品なのか、単独で読んでも
楽しめないのか、というとそうでもありません。
もちろん過去作品を読んだ上で本作に手をつけた方が二重に楽しめることは間違いありませんが、
本作だけでも十分1作品としては成り立っていますし、完成度も及第点。
推薦はしませんが。
だって、テーマが重いんですもの^^;。暗いんですもの。。。

母子癒着、衣着せずに言うとずばりマザコンがテーマですが、
一般に浸透しているマザコンのイメージとはちと違うような。執着しているのは
母親の方ですからね。自立してない成人男性が「ママに聞いてみないと~」みたいな
ノリとは違う観点で描かれております。

タックシリーズの「依存」と共通するテーマですが、(あれも母親側が……だった)
母親からの精神的自立、その葛藤という部分を除けばあまり重複する内容ではない気が。
(そもそも、タックは殺人鬼なんかではありませんっ。その要素も持ち合わせてませんっ。)


うーん、めずらしく個人的感情のないただの作品紹介になってしまいました。

だって、こういうストーリー好きじゃないんですもの。。。