講談社ノベルス。
生放送のテレビドラマ。そのタイトルは、「マトリョーシカ」。
晋太郎の恋人、美内歌織(作家)が脚本を書き、主演するこのドラマには幾重もの
陰謀が渦巻いていた。本番中に次々と事件が発生し、ドラマの中での話のはずの
脅迫者は実在する。
「虚構」と「虚構の中の虚構」、そして地のストーリー。
入れ子トリックをマトリョーシカに例え、混乱に混乱を加えた本格ミステリ。
いやはや、なんてややこしいんだ!!!
最初に作者が「これは入れ子構造でーす」と宣伝してくれているから話の
軌道に乗れるものの、ドラマの役名と本名と芸名と、さらに俳優以外の主要人物
(ほとんど死者ですが)がもう複雑で覚えきれないですがな。。。
そして、たびたび挿入される※※※の章。性別以外は全く不明の人物。これがまた??
晋太郎の弟の自殺をはじめ、過去の事件がドラマにどうかかわっているのか、
どこまでが虚構でどこからが現実?
騙されてるのは読者?主人公?それすら提示されずに(当たり前)
ドラマだけは進む。
この構造、伏線は見事としか言いようがないですね。
ここまで複雑に色んなストーリーが入り交じっていると、さすがのくろけんも
「ぶっとびとんでもトリック」を使わざるを得ないだろう、と思いきや。
いやはや、つながっちゃうじゃないですか!
悪く言えば、整頓されすぎて優等生の書いたミステリです。
でも、いいんです。
お約束の、せつな~~い恋愛が本書でも炸裂だもの。。
くろけんにはコレがないとね。
もう一度読みたい種類ではありませんでしたが…(ぼそっ)。