すべてが猫になる

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幻惑の死と使途  (ねこ3.8匹)

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森博嗣著。講談社文庫。

「諸君が、一度でも私の名を呼べば、どんな密室からも抜け出してみせよう」いかなる状況からも奇跡の脱出を果たす天才奇術師・有里匠幻(ありさとしょうげん)が衆人環視のショーの最中に殺された。しかも遺体は、霊柩車から消失。これは匠幻最後の脱出か?幾重にも重なる謎に秘められた真実を犀川・西之園の理系師弟が解明する。(裏表紙引用)
 
20.6.13再読書き直し。
 
S&Mシリーズ第6弾はイリュージョンミステリ。
 
天才奇術師の有里匠幻のミラクル・エスケープ。大々的なマジックショー見物に出かけた萌絵と犀川たちは、マジックのクライマックスで匠幻が何者かに刺殺された事件に巻き込まれる。そして匠幻の葬儀で棺の中にあった遺体が消失。倉庫では大道具製作を請け負っていた男が絞殺され…。
 
萌絵と加部屋恵美が知り合う記念すべき回。恵美はまだ中学生?かな。萌絵が結構倒れたりするのでハラハラするも、精神面ではかなり成長しているようす。萌絵の友人の簑沢杜萌も登場するが、中盤から出てこないのでそこは「夏のレプリカ」へ続くもよう。
 
今回のトリックはマジシャンらしい奇想天外さと、人生そのものがマジックと言っていいような物語性があって凡人にはなかなか理解しがたいものがあった。単純な相似なら都合のいいミステリと言われるが、ここまで周到ならば圧倒される。ドラマは無理、やるなら映画だ。
 
犀川さんは明らかに萌絵ラブだけど、相変わらず進展なし。35歳でしょ、そろそろ焦ってもいいと思うんだけどなあ。。萌絵大学院行くし。犀川さんには一般論通用せんか。。ここでプロポーズするような男なら萌絵も惹かれないだろうし。