すべてが猫になる

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ストレート・チェイサー (ねこ3.6匹)

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光文社文庫


海外設定のノンシリーズものです。

こんな本出してたんですね、西澤氏。

リンズィは女性が集う秘密のバーで、2人の女性と知り合った。そしてその場の勢いで
トリプル交換殺人を約束してしまう。
翌日、リンズィが指名した職場の上司が密室で他殺死体となって発見されるーーーー。


交換殺人、っていきなりネタバレかぃ?とびっくりしたんですが、さすがは西澤氏、
構成や仕掛けが凝りに凝っていて引き込まれますね。
トリプル、という点を除けばありがちな設定のはずが、死体が本人と違っていたり、
2人の女性の経歴が申告と違っていたりと読者をケムに巻く展開、また展開、で
退屈させません。
そして西澤氏と言えば、SF設定を忘れてはいけません。
今回のアイテムは、「かけると自分の姿が他人に見えなくなる」というメガネ。なにこれ^^;。


本作は、意外性やどんでん返しは希薄かも。
メガネもあんまり話に生きてる気がしなかったし。(実際そんなことはなかったが)

ミステリとして十分楽しめますが、売り文句の「感動長編!」は嘘ではなかったですね。
感動はさすがに言い過ぎですが、ほろりと来ましたよ。
人間同士の結びつきを繊細に描き、ミステリの論理とも結びつけています。


西澤氏のSF設定はいつもダサイんですけど、こんな作品を書く西澤さん、かっこいいなあ。