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本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド  (ねこ4.6匹)

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どのページを開いても、本格愛、本棚探偵への愛に溢れた一冊。
本書を読める幸せを享受しないなんてもったいないです。――辻村深月

本格ミステリ誕生175年目の衝撃!
日本推理作家賞受賞作家が放つ
今まで見たことのないブックガイド!!

○本当にお薦めしたい古典ミステリを選ぶ「H-1グランプリ」
○読んで書いて覚える「エンピツでなぞる美しいミステリ」
○本棚探偵が街で見つけた謎「ミステリの風景」
○みすを名言・格言集「ほんかくだもの」
○名作をイラストで紹介「勝手に挿絵」
○喜国雅彦の本を楽しむ姿を描く「国樹由香の本棚探偵の日常」(紹介文引用)

 


あの本棚探偵が帰って来た!ということで喜国さんが放つ、古典ミステリガイドブック。本格ファンならずとも、読書家なら必ず押さえておきたい一冊(たぶん)。ここにあるガイドブックは巷に並ぶどんなガイドブックとも違う。探偵の遊び心と、本格ミステリへの愛情、夫婦(&犬)愛がたっぷり詰まっているのだ。

 

その内容はと言えば、ミステリに詳しい坂東善博士と本自体全く読まない高校生りっちゃん(多分どっちの役も喜国さん)が、博士の選んだ古典ミステリを読んでああだこうだと好き勝手に批判したり議論したりする「H-1グランプリ」。自分のストライクゾーンど真ん中がほとんどだったので楽しい楽しい。クイーンだのカーだの、はたまたバークリーだのデクスターだの、ハヤカワや創元のあらゆるミステリはもちろん、国書刊行会やらペリイ・メイスンまで網羅してくれているもんだから四方八方ぬかりなし。聞いたこともない古典も稀にあったけど。

 

古典というと読みづらい、難しい、本当に面白いの?っていうイメージが現代にはあるけれど、この高校生りっちゃんが本音でザックリどんな名作でも一刀両断してくれちゃう(笑)。それはもうスカっとするほどに・・・。書かないほうがいっそマシな見取り図とか(笑)。バークリーやクリスティーをもけちょんけちょんに貶しているのでそこは本破りそうになったけど。まあこのコーナーで学んだことは、本への愛さえ根底にあれば面白くないもんをカッコつけてムリに褒める必要はないんだってことだな。

 

で、他にも喜国さんのむりやり挿絵とか(むしろコッチに読みたい本いっぱいあった。「叫ぶ夜光怪人」とか「まぼろし」とか、乱歩の「芋虫」っぽい世界観のものがたくさん)、みつをの格言を思いっきりパクった「ほんかくだもの」のページや、国樹さんが漫画で描く探偵の日常とか(絵が可愛い)楽しいコーナー目白押し。なんと言っても最高なのが「エンピツでなぞる美しいミステリ」・・・!!これ多分、文章で説明しても意味わかんないと思うので現物をご確認下さい。笑っちゃうから。どこからこういう発想出てくるのかね。

 

個人的には動物の闘病記が苦手なのと、最後の「H-1グランプリ」がりっちゃんの批評じゃなかったのが残念だったのでその分だけ減点(りっちゃんじゃないと意味がないと思う)。それにつけてもああ、今やたらと古典本格や創元ミステリが読みたくてたまらない。クイーン祭りしようかな、それとも乱歩コーナー再開するかな。。。夢広がる。