すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

ミスター・マーダー/Mr. Murder  (ねこ3.7匹)

イメージ 1

イメージ 2

ディーン・クーンツ著。文春文庫。

ミスター・マーダー――売れっ子ミステリー作家マーティをマスコミはこう呼ぶ。素顔の彼は妻と二人の娘を大切にする家庭的な男。平穏に暮らしていたが、突然、記憶の欠落に悩まされる。不安な毎日を送るマーティが、ある日家に帰ると、自分と瓜ふたつの男が現れて言った、「なぜおれの人生を盗んだ?」そこからすべてが……。(裏表紙引用)


ふつう。。。


扶桑社ものだけじゃなく、こっちのクーンツもB級なんだね。上巻がスリルあふるるサスペンスホラーだったから下巻で椅子からずっこけたよ。
まあしかし、参考になるようなことも書かないとね。クーンツのワンパターンですよとかマンネリですよとか^^逆に言うと、ある意味クーンツはどれから読んでも失敗はないんじゃないかと思うようになった。どれも面白いじゃん?どれもハッピーエンドじゃん?どれもそれなりにコワイじゃん?

で、本書の特徴と言えば、やっぱり家族愛と殺人鬼の滑稽な描写から滲み出る哀れさ。フランケンシュタインの法則と一緒かわかんないけど、本書をバカバカしくし足らしめているのは、「自分の人生が欲しい」とのたまう殺人鬼の心理ではないかと。設定のほうじゃなく。彼が夢見る素晴らしい夫としての自分、出来た父親としての自分があまりにも理想的すぎて、漫画の読みすぎは良くないんだなあと思わされてしまう。このあたりをうまく読み取れれば、それなりに面白く読める作品じゃないかな。

個人的には、ラストは大人の読み物じゃないな、と思った。「ウォッチャーズ」ほどの感動はないし「ダーク・ハーフ」ほどの気持ち悪さもなく、お薦めはしないが読もうという人を止めるほどつまらなくはない、と言っておく。

(689P/読書所要時間5:00)