すべてが猫になる

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探偵はパシられる  (ねこ3.9匹)

カモシダせぶん著。PHP研究所

神奈川県立N高校の番長・丸木のパシリである岡部太朗は、「お使い先」で数々の事件に巻き込まれる。丸木のもとに早く戻らなければならない太朗は、最速で事件を解決する!? N高への転校早々、舐められないようにカツアゲをすることにした原田は、岡部太朗という生徒から金を巻き上げることに成功する。しかし太朗から、逆にカツアゲの不手際を指摘されてしまい……(「ファーストカツアゲ」) 仕事前にあんパンを買うことを日課にしている木梨は、残りひとつしかないあんパンを巡り、太朗と取り合いに。番長のために絶対にあんパンを買うと言い張る太朗に対し、木梨にも譲れない理由があり……(「最後のあんパン」)  ――など、爆笑と衝撃の全9編を収録。(紹介文引用)
 
お笑いコンビ「デンドロビーム」のカモシダせぶん氏のデビュー作。現役の書店員さんでもあり、アメトーーク「読書芸人」でもおなじみ。
べるさんの記事を読んで面白そうだったので読んでみた。
 
うん、とっても面白かった!
まず探偵役の岡部太朗のキャラクターがいいね。中学で全国模試1位という秀才ながらなぜかワルの巣窟N高校に入学、以来番長の(番長て。。。令和。。。番長。。。。。)丸木のパシリとして日々走り回っている。その推理力とパシリで培った運動能力(笑)で、他人の悩みやちょっとした事件を次々解決。
番長の丸木も、暴力と大声はいただけないけど実はいいヤツ。番長だけど。筋の通らない喧嘩はしないし、人との繋がりを大事にしている。岡部とはいいコンビだと思う。
 
9編もあるのでまとめての感想になるけど、刑事のウソを見破ったり、恋愛沙汰を解決したり、従兄弟の夢を後押ししたり、消えたメリケンを見つけたり、教師の犯罪を問い詰めたり、まあとにかく色々します。単に謎を解くだけじゃなくて、ちょっとグっとくる台詞や場面もあったり。岡部にも丸木にも色々背景があって、それが物語の深みにもなってる。
 
いやあ、文章はうまいとは言い難いけどまだまだ伸びると思うし、なにより芸人さんだけあって文章が面白くて楽しい。「本も空手家と同じで、帯巻いてる奴もいます」がお気に入り。