すべてが猫になる

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盲目の目撃者  (ねこ3.8匹)

甲賀三郎著。春陽文庫

嵐で沈没した客船ブラジル丸から奇跡的に救出された船医の井田は、帰国後、酒浸りの無為な日々を送っていた。彼はカフェで出会った謎の青年の依頼で、もう一人の生存者である富豪の相続人・民谷清子を訪ね、殺人事件に巻き込まれてしまう……。二転三転する事件の意外な結末とは? 他に「山荘の殺人事件」「隠れた手」を併録。さらに横溝正史のエッセイ「好敵手甲賀・大下」も収録。解説・日下三蔵(裏表紙引用)
 
初読み作家さん。横溝正史「死仮面」と同時発売だったのかな?今本屋に2冊並んでいる本の片割れ。あえてよく知ってる横溝ではなく、名前を聞いたことがあるだけの甲田三郎を手に取ってみた。横溝さんがライバルと言っているしね。
 
まあ、その、かーなーりー現代文に近づけて読みやすく改訂しているのだろうし字も大きめなので読めることは読めたが。。正直、江戸川乱歩横溝正史がなぜ突出して人気があったのか分かるなあという感想になった。ところどころ文章がおかしいし(そこは尊重していじっていないのであろう)、分かりにくい読みづらいテンポも悪い。それとは別として誤植も多い(旧字だとか昔の言い方とかそういうことではなく普通に誤植。大木が大本になってるとかそういう)。
 
それはそれとして、本格ミステリ好きが読むには雰囲気や作風、文体が横溝&乱歩そのものなので、愛着を持って読める面もある。トリックやらなんやらは現代で読むと苦笑モノだが、ヴァン・ダインや世界探偵小説全集もモノによってはこんなものではないかと思うので。あと、女性の権利や差別に対してかなり理解がある文章が多いのが意外で、この時代でもこういう男性がいたのかという発見にもなった。偏見かもしれないが。
 
内容やあらすじはあまり書く気になれないので割愛。。まあまあ面白いです。