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下町ロケット ガウディ計画  (ねこ4匹)

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池井戸潤著。小学館文庫。

ロケットエンジンのバルブシステムの開発により、倒産の危機を切り抜けてから数年―。大田区の町工場・佃製作所は、またしてもピンチに陥っていた。量産を約束したはずの取引はあえなく打ち切られ、ロケットエンジンの開発では、NASA出身の社長が率いるライバル企業とのコンペの話が持ち上がる。そんな時、社長・佃航平のもとに、かつての部下からある医療機器の開発依頼が持ち込まれた。「ガウディ」と呼ばれるその医療機器が完成すれば、多くの心臓病患者を救うことができるという。ロケットから人体へ―。佃製作所の新たな挑戦が始まった!(裏表紙引用)
 
下町ロケット続編。前回はロケットエンジンのバルブを作っていた佃製作所、今回はなんと人体の世界へ。一部上場大手の日本クラインから、人工心臓のある部材の試作品を作ってもらえないかという話が持ち込まれた佃製作所。しかし量産の話も立ち消えになり、サヤマ製作所社に出し抜かれてしまった。そして若手エンジニアの中里の不満が爆発し、佃製作所を辞めてサヤマへ転職してしまうが…。
 
うーん、今回も勧善懲悪のスカっとするお仕事ストーリー。佃さん相変わらずアツい。佃品質、佃プライド。あったなあ、懐かしい。前作や「陸王」に比べたら悪役が完全な悪役ではない感じがして(元々は誠実な医者だったはずの貴船とか、辞めて裏切った中里とか)、読んでいて「早くギャフンと言わせろ!」とはそれほどならなかった。サヤマの椎名とか審査員の滝川とか、どうにもならなそうな人間も確かにいたけども。ビジネスが金儲けや出世なのは分かるけども、夢や情熱、誠実さを欠いたら生きる甲斐がないよね。綺麗事かもしれないけど、佃製作所のみんなや娘を失った編み物会社の桜田さんを見てたらそう思えるな。
 
そして今回の主役は、出番は少ないけれども頑張った立花と加納ちゃん、そして子どもたちだと思う。立花が審査会?で熱弁したシーンとか目がうるっと来たもん。どちらかと言うと感動の要素のほうが上になった作品かもしれない。さて次の佃製作所は何を作るのかな。