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カインの子どもたち  (ねこ3.9匹)

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浦賀和宏著。実業之日本社文庫。

数奇な絆を持つ女たち――時を超える真実を暴け。 立石アキは死刑確定から40年以上拘置され続けている男の孫だ。 祖父との血縁関係が原因で、子供の頃から人生に行きづまりを感じていた。 しかし、彼女の運命は急転する。 アキと同じく死刑囚の孫でジャーナリストの泉堂莉菜が、 事件の新情報を手に突然接触してきたのだ。 祖父らの冤罪を証明するため、「真犯人」を探し始めた二人だが――⁉(裏表紙引用)
 
浦賀さんの文庫新刊。
 
「メタモルフォーゼの女」「Мの女」をまとめた前作「十五年目の復讐」、そして本作で全部繋がったー!Мの女=泉堂莉菜の前日譚ということかな。一応銀ちゃんも登場するので銀ちゃんシリーズなんだろうが…完全なるザコ扱いで笑う。
 
お互い祖父が死刑囚ということから知り合った、全く性格も容姿も正反対のアキと莉菜の物語。放火殺人と政治絡みの警察官殺しということで事件の性質も全く違う。そこがどう関係していくのか?アキと莉菜の関係はどこへ着地するのか?アキの自分を卑下しすぎるところは好きではなかったが、祖父が死刑囚でずっといじめられてきたと考えたらしょうがないのかな。対して莉菜は美人で活発で有名人なんだけど、裏の本性がすっごい(笑)。女と女の愛憎劇と、サスペンスがうまい具合に絡んで進行していくのでドラマチックだった。莉菜に惹かれるアキの気持ちは心理的によく分かるが、莉菜はアキのどこが気に入ったんだろうかな。そこをもっと知りたかった。
 
最終章の血も涙もない凄い展開こそ浦賀作品だと思うが、少し優しさというか愛情みたいなものが見え隠れするのは作風の変化?