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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン オセージ族連続怪死事件とFBIの誕生/Killers of the Flower Moon  (ねこ3.8匹)

デイヴィッド・グラン著。倉田真木訳。ハヤカワ文庫。

1920年代のアメリカ・オクラホマ州。先住民のオセージ族が「花殺しの月」と呼ぶ5月のある夜、2件の殺人が起きる。それはオセージ族とその関係者二十数人が犠牲となる連続怪死事件の幕開けだった。特別捜査官のトム・ホワイトが調査を開始すると、石油利権と人種差別が複雑に絡み合う巨大な陰謀が明らかになってきて――。FBI誕生の契機となった事件を丹念に描き、アメリカ探偵作家クラブ賞を受賞した傑作。映画化原作。(裏表紙引用)
 
レオナルド・ディカプリオロバート・デ・ニーロが出演する映画の原作ということで面白そうだと思って読んでみた。まさかノンフィクションだとは思わなかったが、、字が大きく翻訳も読みやすかったためスラスラと読めた。ヘンに作者の感情やテクニックが入っていないので事実だけを追うことができ、分かりやすかったかも。
 
石油で財を築いたインディアン・オセージ族。その財は一人一人が十一台もの車を所有するほどだが、人種差別や白人たちの欲望に取り込まれ、土地や財産のみならず人命まで奪われるほど。政治家や弁護士、その自分たちに都合のいい法律、ルールはありとあらゆる人々――国民全員一丸となるほどで、人間の醜さや金への執着を浮き彫りにする。
 
事件を追うごとに明らかになる真相はこれが実話なのかと疑うほどだが、この時代では氷山の一角なのだろう。今では迫害された人々が公正に暮らせていることを願う。銃社会では難しいか。
 
ところで、ザっと調べたところレオ様はオセージ族女性の夫・アーネスト役だと知り驚いた、ていうかガッカリした。いや、ハマリ役だとは思うが。。原作ではトム・ホワイトというイケてる捜査官がほぼ主人公なので、てっきりこちらかと。ヘイル役のデニーロは文句なしだけどね。原作では探偵ものの色が強いが、映画は完全にそっちに振り切るのかも。まあどっちにせよ楽しみだ。