すべてが猫になる

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ダブ(エ)ストン街道 (ねこ3.8匹)

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浅暮三文著。講談社文庫。第8回受賞作。


これは、ジャンル分けを敢えてするならばファンタジー小説
メフィスト賞なんでもあり、という定義?は決して「コズミック」でも「六とん」でも
なく、この作品あってこそだと思う。
唯一違うのは、壁本ではないということです(笑)


主人公はケンという青年。恋人のタニアは重度の夢遊病患者。ある時は公園へ、ある時は
アムステルダムへ、必ずタニアを連れ戻しに行くケン。しかし、今度のタニアの放浪先は
「ダブストン」だか「ダブエストン」だかどっちだかわからない、聞いたこともない場所。

各地を捜しもとめるうち、偶然にもダブストンだかダブエストンだかに辿り着いていた
ケン。さあタニアを捜す旅の始まり。

このダブストンだかダブエストンだかって土地には、色々な人々が登場。みんな誰かを求めて、
放浪を続けている。「兄弟ガリバー」が個人的にはお気に入り。ポストを求めてさすらう
郵便配達人、ネクタイだけを付けてる熊、襷を渡す相手を見失い、いつまでも走り続ける
駅伝ランナー(笑)、、、もう楽しい、出て来るだけで。
そしてそして、ダブエストンだかダブストンだか(しつこくてすいません、だってどっちか
はっきりしないししまいにはダベーストン、ダブェストンなんて言い出してますもん)で
唯一信じられるのは上向きの↑(つまり天国!)のみ、なんて最高じゃないの。


……と、感想にならずただ物語紹介になってしまった。
まあそれぐらい楽しい世界なんですよ、ダブストンだかダブエストンという所は!
ラストも泣かせるねえ。。。

講談社文庫、メフィスト賞受賞作、ということになると、どうしても読者層は「ミステリ好き」
になってしまうと思うんだけども。
それでも、かなりの人が気に入ると思う、これ。単にこういう土壌に存在したから
「掃き溜めに鶴」ではなく、このジャンルど真ん中に登場しても十分な完成度。

あ、これ、ファンタジーノベル大賞の候補作にもなったらしいです。