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アヒルと鴨のコインロッカー (ねこ3.8匹)

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伊坂幸太郎著。東京創元社

引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は――たった1冊の広辞苑!? そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ! 清冽な余韻を残す傑作ミステリ。第25回吉川英治文学新人賞受賞。(裏表紙引用)
 
22.3.17再読書き直し。
 
約17年ぶりの再読。初期伊坂作品の中ではそれほど思い入れのあるものではなかったため、初読のように読めた(それもどうなのか)。
 
2年ほどずれた<現在>と<過去>が交互に語られる構成。大学生の椎名は引っ越してきたアパートの隣人に、広辞苑を盗むために一緒に本屋を襲うことになる。またペットショップで働く琴美は、同居しているブータン人のドルジと共に、動物虐待事件の犯人たちに襲われる。どちらの章にも「河崎」という人物が関わっており、お互いの話がどこでどう繋がるのか考えながら読んだ。
 
伊坂作品には動物虐待のシーンが多いイメージがあり、そのためもあってか苦手な印象。これまた伊坂作品には不可欠の不快な人間が登場し、勧善懲悪の展開になっていくのも今ではお馴染みの展開だ。そのスカっとする要素やすべてが最後に繋がり意外な真相が用意されているお約束が気持ちよく決まっていて、決して他作品にひけをとるものではなかった。似てるけど違うアヒルと鴨のたとえ、最後にコインロッカーが出てくるところもうまくタイトルにハマって爽快。どうやら椎名は<陽ギャ>の祥子さんの甥っ子みたいね。