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黄昏の囁き (ねこ3.8匹)

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綾辻行人著。講談社文庫。

兄急死の報に帰郷した医学生翔二は、元予備校講師占部の協力で、“事故”の真相を追い始めた。「ね、遊んでよ」謎の“囁き”に異常に怯える兄の幼馴染みたち。やがて一人また一人と殺人鬼の魔の手が伸びるなか、彼の脳裏に幼き日の恐るべき記憶が甦る。異色の長編推理“囁き”シリーズ第三弾!待望の登場。(裏表紙引用)
 
20.2.7再読書き直し。
 
囁きシリーズ第3弾。
なぜ初回のねこ点あんなに低かったんだろう(2.5)。普通に面白かったけどな。
 
雰囲気重視、という綾辻氏のポリシーを堂々と体現してみせる本シリーズ。毎シリーズ独特の文章の「間」で囁きを挿入してくるのが特徴。事故死と思われた兄の死の真相を、弟と元予備校講師が解き明かしていく。幼い頃のいじめ事故死事件が現在の猟奇連続殺人事件とどう関連していくのか。終盤まではだいたい想像通りの展開なるも、真犯人やその動機は完全に意表を突くものだった。こういう種類の犯人と動機は館シリーズの本格推理小説ではあまり成功しづらく、囁きシリーズならではの真相と言える。ラストの緊迫感あふれる対決も良かったし、人情味のある物語の閉じ方も好み。「暗闇」と並ぶ良作。