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ブラジル蝶の謎 (ねこ2.8匹)

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講談社文庫。

国名シリーズ第三弾。六編収録の短編集。


良くも悪くも、ちょっと悪くも、という作品集。
あまり有栖川さんの短編は期待していなかったので(失礼)、
予想よりはどれも読める作品だった、といった所ですか。


表題作での火村さんの最後のセリフが謎。今までさんざんひっぱってきた
火村さんの過去。うーん、いい加減じらし過ぎな感があります。小出しでいいので
そろそろお願いしますよ、ほんとに。
設定は本格推理にはありがちな物でしたが、そこそこ面白いです。

「妄想日記」のオチもちょっとブラックでいいし、「彼女か彼か」も
ホステスの蘭ちゃんをうまく使って味があるし、「人喰いの滝」は
あまりのつまらなさに寝ながら読んだもののトリックが「おい、真面目に
やってんのか」という種類のもので笑えるし、「蝶々がはばたく」も
トリックこそ煮詰まって適当に思いついたのかと思えるものだったけど
有栖川さんらしいユーモアと人間の哀愁が漂っていて良かった。



最初に本作を読んでいたらと思うと背筋が凍りそうですが、
火村&アリスのやりとりを楽しみながら、箸休めとして読む分には問題ありませんね。