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御手洗潔の挨拶 (ねこ4.6匹)

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講談社文庫。

御手洗潔シリーズ、短編集第一弾~。


神の頭脳と手による、素晴らしい作品集。

4編収録。
ここにある作品達はどれも、御手洗潔という今世紀屈指の名探偵の魅力が
隅々まで詰まっており、奇想天外なトリックと不可能犯罪と、数々の
人間ドラマが凝縮されております。

一発目の「数字錠」から御手洗潔は天才か変態か、全開でその頭脳を発揮。
この事件のトリックはまさに奇想と言えましょう。できねえよ!という
つっこみなら他でお願いします^^。
泣ける。

続く「疾走する死者」の事件の奇抜さといったらどうでしょう。
トリックもよくもまあこれだけ辻褄を合わせたものよ。
ギターで天才的な技術を発揮する御手洗さんが見物。
テレビが観たくて犯人を指摘する、やっぱりこの人はおかしい。。

紫電改研究保存会」
男のロマンってやつですか。ホームズの某短編を彷彿とさせる奇妙な事件ですね。

ギリシャの犬」
誘拐ものです。他3作と比べてちょっと自分は落ちましたが、それでも
十分及第点以上と言えましょう。


御手洗潔
歯に衣着せずに言うと、ただの変人。

本格推理の型にはまった探偵像、をそのまま持って来たと言える。
変人で、孤独で、マニアックで、情に熱い。そんな探偵キャラなら、自分が読んで来た
ミステリで何人でも挙げられる。
当たり前だけど、設定だけでキャラが生きるかと言ったら大間違いであり、
そのキャラにしかない個性作りと、人間性の描写があって初めてそのキャラに命が吹き込まれる。
その点で、御手洗潔は完璧だと言いたい。

背が高くハンサム。博識で頭脳明晰、なぜか職業は占星術師。ギターを持たせりゃ超一流。
実は意外にも涙もろく内に熱い情熱を秘め、人間よりも犬と結婚した方がましだとのたまい、
見知らぬ人間にいきなりプラモデルの演説をかまし、テレビが観たいからと犯人を指摘する。
そしてホームズが大好き。

あくまで自分の主観ですが。
原点とも言える、歴代の名探偵達、滝壺に落ちて復活したシャーロック・ホームズよりも、
黄金仮面と対決した明智小五郎よりも、「本陣殺人事件」を解決した金田一耕助よりも、
私は御手洗潔が大好きだ。