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ニャン氏の憂鬱  (ねこ3.7匹)

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松尾由美著。創元推理文庫

製缶会社に勤める傍らバンド活動をしている茶谷くん。ある日、大株主の実業家の秘書・丸山が、猫缶を開ける時の“音楽的な響き”について話したいと訪ねてきた。なぜか黒白の猫を連れた丸山は、成り行きで茶谷が話した密室からのヨウム失踪事件に興味津々。まるで猫と会話をするように密室の謎を解いていき―。愛すべき猫探偵・ニャン氏の事件簿最新作、6編収録で出来だニャ。(裏表紙引用)
 
ニャン氏シリーズ第3弾~。毎回ワトスン役が変わるこのシリーズ、今回はバンドマン兼缶詰会社広報の茶谷くんが務めます。
 
「密室のカナリア
缶詰会社「下っぱ」の茶谷くんのところへ、大株主の実業家(ニャン氏)と秘書(丸山)が訪ねて来た。猫缶を開けた時の音にこだわりたいと言うのだが…。茶谷くんとニャン氏&丸山さん出会いの回。昔のバンド仲間との合宿旅行で体験した、消えたヨウムの謎をニャン氏(丸山さん)が解き明かす。缶詰ネタともかかっていてうまい。
 
「見張り台からずっと」
バンドメンバー、鹿野の父親の様子が最近おかしいらしい。なんでも父親が曽祖父の長持ちを開けると掛け軸が入っており、それを見つけてからだと言うのだが…。暗号もの。やはり猫つながり。これはラストを読むと解釈が変わってくるね。
 
「黄昏のブロック塀」
茶谷くんの上司、速水の母親の思い出。外国暮らしをしていた頃、近所にあったお屋敷の住人らが一斉に消えてしまったというのだ。ちょっと島田荘司ふう解決。とうとう丸山(ニャン氏)さんを自分から呼び出した茶谷くん。
 
「猫を見たかい」
練習のためスタジオを訪れた茶谷バンドだが、入院中のリーダーに頼まれて持参したノートが全員監視の中消え失せた。動機としては幼稚だなあと思うがカフェの子が連絡してこないケースはなるほどなあと思った。
 
「ホスピタル・オディティ」
前回の話と繋がっている。リーダー根上の見舞いに訪れた茶谷くんらは、根上が同室の患者たちとしていた会話が気にかかる。。出てくるけどニャン氏あんま関係なかったな。自力で推理した茶谷くん、この話が一番面白かった。最後のオチはいつものあのパターン(笑)。
 
「アンダー・ヒズ・サム」
大物作家の自宅に集まった人々。起こった宝石盗難事件の容疑者にされた編集者。茶谷くんがまたがんばる。事件の話よりも、茶谷のこれからの身の振り方、成長などが描かれた作品。
 
以上。
面白かったけど、ニャン氏がいつもほど目立っていなかったのは残念。茶谷くん、語尾の「~ッス」も含めてそれほど魅力は感じなかったので、彼に特化しすぎたのが原因かも。事件そのものも、あまり吸引力がないというか。。ネタ切れ気味?