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沈黙の教室  (ねこ3.7匹)

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折原一著。ハヤカワ文庫。

青葉ヶ丘中学3年A組―悪魔のようなこのクラスを、担任教師が名づけて「沈黙の教室」。何者かが不気味な恐怖新聞を発行し、つぎつぎと粛清の対象を指名していく。そして行なわれる残酷ないじめ。やがて20年がたち、クラスの同窓会の告知が新聞に載った時、報復を誓う者による大量殺人計画がひそやかに進行しはじめた!めくるめく多重構造の謎と、じわじわと忍びよる恐怖。日本推理作家協会賞長篇賞に輝くサスペンス。(裏表紙引用)
 
20.8.8投稿。
 
な、長かった…700ページ弱の大長編。第三部まで構成されていて、折原さん得意のトリックが炸裂。あとがきにもあったけど、ややこしすぎると読者がついてこれない。本作はそういう意味ではちょうどいいんじゃないかな。20年前の、「沈黙の教室」で起きた「粛清」行為、担任教師の不祥事、生徒の自殺、恐怖新聞。。。そして35歳となった彼らが幹事主導で同窓会を開くことになったけども、昔の恨みを忘れていない「復讐者」が複雑に混じり合って…。
 
なんというか、時代なのか、いじめや教師の不祥事に対する対応がぬるい。それ意外にもビックリする犯罪が混ざっていたのだけど、その人物に対してもこれでいいのか?と思えるぐらいぬるい。片や一生を台無しにされているわけだからね。まあそれはともかく、トリック抜きにしてもサスペンスドラマとしてなかなか深かったのではないかと。「復讐者」の正体は結構わかりやすかったし、「恐怖新聞」の書き手の正体も想像していた通りだったし。ただ、担任教師の人間関係とか、過去に転校していった女生徒の秘密なんかは驚いた。記憶喪失の青年については拍子抜けだったけど。賞を取るにふさわしい作品だったんじゃないかな。