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サテンのマーメイド  (ねこ3.7匹)

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島田荘司著。集英社文庫

輝く青い瞳、魅惑的なプロポーションにサテンのドレスをまとった女は何に怯えているのか?アメリカ西海岸で探偵をする〈わたし〉の許に、雨の金曜日の夜、仕事の依頼に現れた女はサラと名乗った。フェラーリを駆って自分を12時までに、サウスポイントまで運んでほしいと懇願した。そして同じ頃250マイル離れた2つの町で同じ男が轢き殺される奇妙な事件が起きていた…。濃い霧と美しい海に散る神秘的な女と無償の追跡を続ける男の愛。新境地を拓くハードボイルドミステリー。(裏表紙引用)
20.9.4投稿。
 
島田さんの、海外を舞台としたハードボイルドミステリー。
 
主人公はノースロネガンの私立探偵。ある日サラ・マーメイドと名乗る美しいモデルが探偵事務所を訪れてきた。元レーサーの探偵に、雨の中自分を1万ドルで午前0時までにサウスポイントまで送り届けて欲しいというのだ。探偵は断ったが、飲んだくれの友人カイリーがその役を買って出た。しかし彼らは行方不明となり、サウスポイントでは首と胴体が離れた轢死体が打ち上げられた。
 
謎としては島田作品らしくとてもミステリアスで突拍子もない感じ。しかしそれ以上にハードボイルドものとしての雰囲気は完璧で、キャラクターの魅力もふんだんに打ち出せている。サラの、どんな男も虜にする魅力…一度お目にかかってみたい。クールな探偵もやはり心を奪われていたってことかな。ラストの哀愁がいい。ミステリ的には首の利用方法?が突飛で面白かった。あとはまあ普通だけど、読み物としてはなかなか。こういうのも書けるんだねえ、島田さん。