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叔父殺人事件 グッドバイ  (ねこ3.7匹)

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折原一著。講談社文庫。

叔父が死んだ。ネットで呼集された男女四人がワゴン車内で練炭集団自殺を図った。その中に“僕”の叔父の四郎がいた。リーダー格の女性だけが命を取り留めたが意識不明。叔父のふだんの言動から偽装殺人を疑う叔母の厳命で、関係者を調べ始めた“僕”に、黒い影が忍び寄る。折原叙述マジックが冴え渡る。(裏表紙引用)
20.9.3投稿。
 
「叔母殺人事件」より面白かったかなー(あんま覚えてないが感触として)。
 
集団自殺をした「僕」の叔父。それが殺人だったのではないかと疑う叔母に調査を頼まれた「僕」の章と、集団自殺をする予定の人々に取材をして回るルポライターの章で構成。その集団自殺も一度失敗しており、前回はいたけど今回はいないメンバーとか、双子は実はどっちがどっちとか、時系列も混乱しがちでなかなかややこしい。読んでいる間はスラスラ読めるのだが、最後に反転し色々読者の勘違いが明らかに。まあ、言葉遣いとか色々違和感あったのでアレだけど、それでも最近の折原作品に比べたら人物の齟齬や人間関係の騙しが入っていて新鮮だった。まあ、借金苦のサラリーマン以外は変人ばかりだったしルポライターに倫理観がなかったりと相変わらずリアリティのない不快なキャラクターが目白押し。