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被告A  (ねこ3.7匹)

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折原一著。ハヤカワ文庫。

東京杉並区で起きた連続誘拐殺人事件は、死体に残されるトランプの絵柄から“ジョーカー連続殺人事件”と呼ばれた。田宮亮太は、自供により被告として法廷に引き出されるものの、一転して無罪を主張し、逆転の秘策を練る。一方では新たな誘拐事件が発生し、息子を取り戻すために、一人の母親が孤軍奮闘をしていた。姿を見せない真犯人はどこに?そして、事件の真相は?驚くべき結末が待つ新趣向の誘拐&法廷ミステリ。(裏表紙引用)
20.8.28投稿。
 
連続して読んでる折原作品。やっと「~者」シリーズの呪縛から解き放たれたかな。最近読んでいた作品とは趣向も雰囲気も違っていたので新鮮。でもしかし折原作品であることに変わりはないので、叙述ものには違いない。
 
年齢も性別もバラバラの被害者たちの遺体の上にはトランプのカードが残されていた。恐ろしい連続誘拐殺人事件の新たな被害者は、19歳の青年だった。一千万円の身代金を要求された母親は、可愛い「タァ坊」(おえっ。。)のために警察にも知らせず孤軍奮闘する。と、いう章と、「被告A」田宮亮太の取り調べ&裁判視点で構成されている。粗末な食事、横暴な刑事、睡眠不足と日々追い込まれる田宮は、命を守るために罪を認めることにしたが…。
 
横暴刑事は腹立たしいが、まあこれ普通に冤罪じゃないんだろうなと思ってしまうスレた読者。母親のほうもちょっと変わり者っぽいというか。。どれがウソなんだろうなと思いながら読むと、想像を超えるウソが待っていた。確かにビックリはしたが、またこれ!?という思い。面白かっただけに、さすがに脱力してしまう。大技よりも、多少はややこしい騙しモノのほうがまだ評価できるよなあと折原作品の特徴を再確認することになった。