すべてが猫になる

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DOOMSDAY ー審判の日ー (ねこ2匹)

津村巧著。講談社ノベルス。第22回受賞作。

新本格SF。全編殺戮(笑)。

監獄から出所したばかりの元海軍、日系アメリカ人のハヤシ=コウイチ。
出所後の受け入れ先、フラートン郡の市民は前科者の日本人を徹底的に拒絶、
抗議した。
そんな平和なフラートンを突然エイリアンが襲う!!

(笑)………。
前半はかなり引き込まれたんですよこれ。面白い。軍隊の無差別殺人で幕を開けたと
思ったらなんとE.Tが出現するんですから。

ハヤシの章では、市民の偏見100%、チャイナとジャパンの区別が全くついてない
ありとあらゆる言い争いが笑えて笑えて。
それがどうつながるのか?ハヤシの過去とどうからむ物語なのか?わくわく。

…………。
完全SFでした……。しかも、インデペンデンス・デイばりのアクションSFでした。
がっかりです。目新しさもない、ただエイリアンと戦う、エイリアンから逃げる、
そんなエピソードが延々と500ページ(汗)

登場人物はそれぞれ個性ある設定だったのに、描ききれてない。
エイリアンとの戦いによって動いているのは脇役の心理ばかりで、
ハヤシとか、主役クラスの人物とエイリアン騒動がまったくかみ合っていない。
まあ新感覚としてそれでもいいのですが、それならこの長さはお荷物。
アクションシーンがだらだら続くため、テンポが悪く、描こうとしていることが
伝わりにくい。

文章はかなりセンスがあるので残念。ちょっとした工夫で「読ませる」作家になれると思うのに。。。