すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

エナメルを塗った魂の比重 ー鏡稜子ときせかえ密室ー (ねこ4.2匹)

イメージ 1

佐藤友哉著。講談社ノベルス

メフィスト賞受賞作「フリッカー式」の『鏡家サーガ』シリーズ、第2弾です。


前作は次男の公彦君が主人公でしたが、本作はお姉さんの稜子さんにスポットが。
この人も異常なんだよねたしか。。。

えーと、登場人物多し。
転校生のお嬢様美女、綾香さん。母親が殺人者という理由でひどいイジメを受ける千鶴。
コスプレという手段でしか自己表現できない羽美。人肉しか食べられない砂絵。
えーーー………その他もろもろ。

一応密室殺人というのは起きますが、ストーリー及びミステリとしての謎解きはほとんど
皆無。作者の独特の壊れまくった世界観ばかりがぎっしり詰まっております。

のっけから人肉しか食べられない少女が登場し、次の章では残酷、非道なクラスメイト
に別の少女が苛められまくり、さらにはコスプレ少女が「コミケ」で自己表現に悩み出し…
世間一般のタブーの領域にまで踏み込んで行きます。


この作品に対し、「グロイ」「イジメの描写が読んでられない」「ここまで書かれるとひいてしまう」という評価をするのは簡単ですね。文章も青いですし。細部の小道具までとことんマニアック。
しかし、そんな表面的な感想しか出ない本に果たしてどんな意味があるのか。

作者(20歳!)の「若さ」ゆえ?「若気の至り?」
いいじゃない。
このままで突っ切って激突してしまえばいいんじゃないですか。
もうこの人に関してはとことんこのままで描き続けて欲しい。
評価?直木賞?論理?感動的なストーリー?それがどうした。

自分がこの作家を本当に認めるかどうかは(えらそう)、5年後ということにしよう。

願わくば、この暴走本がただの「個性」で終わりませんように。。