すべてが猫になる

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茨姫はたたかう (ねこ4匹)

近藤史恵著。祥伝社文庫。書き下ろし。


内気で、対人関係に怯える梨花子は、ストーカーに悩まされていた。引っ越してきたマンション
には、2人の個性豊かな女性が住んでおり、そのなれなれしさや、価値観の相違にも
苦しむ。その梨花子が、精神、肉体共に癒す力を持った整体師・合田に出会ったのを
きっかけに立ち上がるーーー。

これ、シリーズの第2弾みたいですね。知らずにコレから読んじゃいましたけど、
作品ごとに独立してそうなので問題はなさそうです。登場人物の説明もちゃんとあるし、
シリーズ2作目と最後まで気付かなかったくらいだもの(笑)


あらすじを読んだだけでは絶対心惹かれないタイプの本ですが、
いやあはまってしまいました。
はっきり言いまして、成人女性なら誰しもが悩んだことのあるような(ストーカー以外)
物事が物語の骨子なんですよねー。それをちょっと派手に、というか外面を派手にした
感じ。ここまで強烈なキャラ(マンションの女性2人ね)はあんまいないし。

「いい子にしてたら、世界が守ってくれると勘違いしている」
きっついなあ、先生。
これだけじゃ何言われてるんだか抽象的で理解しがたいのですが、梨花子が経験を通じて
その真の意味に気付くくだりが印象深い。かなり、くる、ここ。
自分はいい子にしていた時期なんて皆無だし、はっきり言って梨花子とは共通するものは
何もないのですが(むしろ反感を持ったくらい)。
ストーカーに対して立ち上がった梨花子、まあ周りの協力あってこそですが
がんばった、うんうん。

ミステリとしてはかーなーりー、弱いのですが、心理描写がきちんきちんと描かれているため
なんだかものすごい冒険小説を読んだ気分だ(笑)