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絶叫城殺人事件 (ねこ4匹)

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新潮文庫

六編収録の「火村&アリス」シリーズ、短編集です。
全編、「○○○殺人事件」で統一しており、こだわった一冊ですね。


「黒鳥亭殺人事件」
 めちゃくちゃ意外な真相、というわけでもないんですが、すごく悲しいです。お遊びとしてモチーフにしている「二十の扉」の使い方がうまい。

「壺中庵殺人事件」
 密室内で発見された首つり他殺死体は、頭から壺をかぶせられていたーー。ちょっとヤですよこの
理由は。この作品の要は、動機でしょうか。

「月宮殿殺人事件」
 ホームレスの男性が何年もかけて建設した魅惑的なお城。久しぶりにその「月宮殿」を見学に来た
アリスが見たものは。
 これ、好きだー。理論で被害者の行動から真相を看破する、私の好きなスタイル。これも悲しいラスト。

「雪華楼殺人事件」
 これはあんまりだったかな。ちょっとロマンチックですが。

「紅梅荘殺人事件」
 中編ですね。うーん、だんだん退屈になってきたかな。もっとスッキリさせても意外性が引き立って良かったんじゃないかな。

「絶叫城殺人事件」
 これも中編。残酷さが売りのゲームソフト「絶叫城」を見立てた殺人か?設定はいい。ヴァーチャルとリアルの世界。意外性も少しあったし、登場人物の心理に力を入れた作品かな。良かった。


全体的には、傑作ぞろい。
有栖川さんの作品の魅力は、ロジックもさることながら、ラストで余韻が残るような「哀愁」だと思う。短編なので、読後「くぅ~~~」と感動しながらも「あ、次、次」となってしまって忙しいので浸るひまがあんまりなかったのですが。