すべてが猫になる

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私は存在が空気  (ねこ3.7匹)

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ある理由から存在感を消せるようになった高校生、鈴木伊織。彼女を認識できるのは、友人の春日部さやかだけ。けれど、さやかと話すうちに、伊織はバスケ部で人気の上条先輩のことが気になりだした。ついにはその“体質”を活かし、彼の後をつけ始め…(表題作)普通じゃない超能力者たちの恋。それは切なくて、おかしくて、温かい。名手が紡ぐ、優しさ溢れる六つの恋物語。 (裏表紙引用)

 


乙一さんの別名義、中田永一作品集。恋愛物語をテーマにしたものばかり。

 

「少年ジャンパー」
軽い引きこもりの少年が年上の瀬名先輩に恋したことから始まる成長物語。瞬間移動を使うから物事がうまく行くのではなくて、その能力を踏み台にして努力することが出来た少年の姿に胸打たれる。

 

「私は存在が空気」
メタファーではなく、本当に周りの人間から姿が見えなくなる少女のお話。その能力が身に付いた理由が、父の暴力というのが悲しいね。中田作品には自分を肯定できない自分を皮肉っているキャラクターが多いがこれはそれの最たるものかな。恋した相手の正体がそのまんまだったので「あれ?それだけ?」って感じ。オチは良し。現代ぽい。

 

「恋する交差点」
数ページのショートストーリー。トンネル効果で、交差点で繋いだ手が別の人間の手と入れ替わってしまうカップル。なんだか何を描いたのかよく分からんが平和でいいな。

 

「スモールライト・アドベンチャー
スモールライトの説明はいらないと思うが。誘拐されたクラスの女子を救う物語。スカートの中うんぬんはともかく、まっすぐな気持ちが可愛い。おっさんだったらこれ変態だな。

 

ファイアスターター湯川さん」
ごめん、もうスティーヴン・キングの小説しか頭に浮かばない。アパートの管理人を勤める大学生と、パイロキネシスの店子・湯川さんの恋物語

 

「サイキック人生」
霊障があるとウソをつきクラスメートを混乱させる泉。死んだ妹と話したいという男子にこっくりさんを使って手助けするお話なんだけど、あんまりこういうウソ好きじゃないなあ。昔「天国からの手紙」とかいう番組あったじゃない。あれを思い出してしまう。自分が死者だったらやめてほしい。。ひねくれててすいません。


以上。う~ん、「少年ジャンパー」とか表題作とかは中田さんっぽい中二病感があっていいんだけど。。あとはなんかよくわからない普通の小説だったな。面白いか面白くないかで言えば面白いんだけど。。乙さんだと思ってなかったらもう次は読まないかも。