すべてが猫になる

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アノニマス・コール  (ねこ3匹)

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薬丸岳著。角川文庫。

 

3年前の事件が原因で警察を辞めた朝倉真志は、妻子と別れ自暴自棄な生活を送っていた。ある日、真志の携帯に無言電話がかかってくる。胸騒ぎを覚え元妻の奈緒美に連絡すると、娘の梓が行方不明になっており、やがて誘拐を告げる匿名の電話が入る。梓を取り戻すべく奔走するなかで過去の事件に引き戻されていく真志。誘拐犯の正体は?過去の事件に隠された真実とは?社会派ミステリの旗手による超弩級エンタテインメント! (裏表紙引用)

 


※黒べる記事です。




薬丸さんどしたの。こんなベタな誘拐エンタテイメント描いちゃって。



警察が街中でこんな拳銃パンパン撃つとかないわーーー

 

武道館のコンサート後のトイレに3人しか並んでないとかないわーーーー

 

誘拐は重罪ですよ?こんな動機絶対ないわーーーー特にこういう立場の人間ならなおさらないわーーー


・・・と、始終「ないわーないわー」と思いながらこの480ページもの長編を読み続けるのもナンなので、何かに引っかかるたびにスマホでネット通販を見るなど気持ちを切り替えて頑張ったのだが。正義感の強い、娘を愛する主人公朝倉がなんだかそうは見えないのと、元妻が夫はこういうことをする人間ではないことを見抜けないってどんだけ浅い絆なんだ?という疑問にとことん付き合うハメになった。しょうがないんだけど、誘拐された子どもの保護者たちの心が1つになってないのは辛い。協力者の岸谷と戸田はキャラが立ってて良かったと思うんだけど、いまいち人数が多くて行動がややこしくなってしまっていた。

 

まあそもそも誘拐ものが好きではないのでそう思うのかもしれないが、身代金を渡すためにあちこち駈けずり回されるシーンがいつまでも続くのに辟易した。誘拐ものの割に梓ちゃんの存在が薄く、過去の死亡事故の謎を解くほうがメインなので、そのへんのメリハリはあったかな。終盤はさすがに読ませる展開で、意外な結末に少しテンションも戻りつつ。でもやっぱこの動機はないだろ。せめてもの、犯人の人物像をもっと掘り下げようよ。警察がゴミすぎて後味も悪いし。。あ、でも、ラストシーンはじんときた。


う~ん、薬丸作品とは思えない題材だし、彼にしては平凡な作品。これ読むなら過去作再読する方がまだいいわぁ。