すべてが猫になる

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月夜のサラサーテ  (ねこ4匹)

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森博嗣著。講談社文庫。

 

森博嗣は理屈っぽいというが本当か。真剣に遊び、超人的に書く人気作家が綴る、日々の小さな出来事。ふとした観察、考察を味わううちに、世界が違って見えてくる。家にやって来た仔犬のこと、若き日の思い出から、「知識」と「教養」の違い、「モーメント」という概念についてまで。好評エッセィ・シリーズ第7弾! (裏表紙引用)

 


大好きな森さんのエッセィシリーズ新刊でたー。もう第7弾か。前作あたりそろそろマンネリ化してきたかな~?と思ったが痛快な森節に終わりはなかった。特に今回は自分が常々言ってきたネット社会や現代人への疑問にリンクする文章がたくさんあって気持ちが良かった。ああ自分は間違ってない。別に森さんの考えが全ての正解だと言うつもりはないが、少なくとも選ぶ作家は間違ってなかった。こういうのも森さんの考える私の承認欲求が満たされたというやつかな。

 

今回ほほぉと思ってニヤリしたのは「不徳の致すところです」は「不徳の私がしたことです」が正解じゃないのかという6や、スポーツの「頑張ることが大事」に対し「結局勝利を欲しがる人ばかり」と疑問を呈する79など。勝利に歓喜する姿と矛盾するって面白い。

 

常に論理的で理屈屋の森さんだが、自然を心から愛する軽妙さも好き。そして趣味が合わず気も合わず話も合わないと断じる奥様のノロケ話も結構楽しい。日々持ち歩きたいぐらい、これは私にとってのハウツー本。