すべてが猫になる

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ホワイトコテージの殺人/The White Cottage Mystery  (ねこ3.8匹)

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マージェリー・アリンガム著。猪俣美江子訳。創元推理文庫

 

1920年代初頭の秋の夕方。ケント州の小さな村をドライブしていたジェリーは、美しい娘に出会った。彼女は住居の“白亜荘”まで送ったとき、メイドが駆け寄ってくる。「殺人よ!」ジェリーは、スコットランドヤードの敏腕警部である父親のW・Tと捜査をするが…。英国本格の巨匠の初長編ミステリにして、本邦初訳作、ユーモア・推理・結末の意外性―そのすべてが第一級! (裏表紙引用)

 


何年も前から気になっていたマージェリー・アリンガム。最近活発に翻訳されているようでうれしい。中身もめっちゃ気に入った。

 

ジャンルは正統派ミステリーで、探偵役はすべての村人から「ええ!あの?!」と尊敬されるW・T・チャロナー警部。息子のジェリーが主役かと思っていたら(いや、そうなんだけどね)、推理や捜査を本格的に担当しているのは完全にお父さんのほう。登場人物を1人1人紹介してくれる。この警部すごいよ。容疑者たちが彼に好感を持ってベラベラ自分のこと話し出すから。かと言ってジェリーはお父さんの言うことをハイハイと聞いているわけでもなく、事件関係者のべっぴんさんに一目惚れして冷静な判断が出来なくなっている。

 

この作品の魅力はもちろん上質で古き良きミステリーとしての出来の良さなのだけど、事件にまつわる人々がとにかく面白い。被害者が亡くなってから急に羽振りが良くなったり、性格が明るくなって、しかも被害者をどんなに憎んでいたか、被害者がどれだけイヤなやつだったかを警部にペラペラ。。。全員怪しすぎる。なんかルパンみたいな組織出てくるし。

 

真相的にはそれなりにビックリしたけど、まあ古い作品だからね。見抜ける人も多いかも。残念ながらこのキャラクターはシリーズ化していないらしい。なってたら揃えたかったんだけどな。別のシリーズ試そうかな。