すべてが猫になる

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書店ガール3  (ねこ3.8匹)

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碧野圭著。PHP文芸文庫。

 

「私、亜紀さんみたいになりたい!」きらきらした目で新人バイトの愛奈に告げられ、困惑する亜紀。子育てに疲れ、不慣れな経済書担当として失敗を重ね、自信を失いかけていたからだ。一方、仙台の老舗書店のリニューアルを任された理子は、沢村店長との出会いを通し、被災地の現状を知る。そんな亜紀と理子が、気持ちを一つにした目標とは!?書店を舞台としたお仕事エンタテインメント第三弾。 (裏表紙引用)

 

 

毎月1冊、ちゃちゃっと7まで読んでしまおうということで。

 

今回のお話は、震災と母と仕事の両立問題がメイン。いつまで経っても風化しないように、こういう作品はいつでも読むべきだと思うね。震災フェアと言われると軽く感じる人もいるかもしれないけど、日本人なら誰にでも自分にとってのあの日があるはずだからこういう企画はとてもいいと思う。この作品では、あの日の知られなかった真実に一歩踏み込んでいて、そのタブーを恐れない姿勢にとても好感が持てる。

 

亜紀のほうは出産を経て復帰したものの、全く専門外のビジネス書や資格書の担当になっててんてこ舞いになっている。文芸で活躍してたのにいきなり何の興味もないジャンルを任されたら…私ならモチベーション保てなくて辞めたくなるな。この本のように、詳しいお客さんから呆れられたり怒られたりもするだろうし。何より、新刊入っても楽しくなさそう。

 

理子の言う、入ってすぐいい本屋かどうかが分かるというのは書店員ならではなんだろうか。私なんて、ハヤカワと創元にどれだけ力を入れているかでしか判断しないもんだから(本屋の大きさ関係ないんだよねこれ実は)。現実はだいたいが単に新刊や映像化作品並べてるだけで、大型書店の役割なんてそれでいいと思うけどね。

 

あとはそうだな~、理子の、自分に気持ちが向いてない人と腹を割って話そうとするパワーはすごいなと。この人自分を好きじゃないな、って人をランチや夕食に誘うってメンタル相当強くないと出来ないと思う。亜紀に関しては、いけすかないお客の広瀬とああいうふうに終わって不覚にもホロリきた。亜紀のまっすぐな性格だからこそ得られた人望だよねえ。自分の都合しか見えてなかったのが、現実が見えた途端切り替えられるのも見習いたい要素だね。

 

あとあと、亜紀の旦那が3巻から急にいいやつ化。