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対岸の彼女  (ねこ3.6匹)

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角田光代著。文春文庫。

 

結婚する女、しない女。子供を持つ女、持たない女。それだけのことで、どうして女どうし、わかりあえなくなるんだろう。ベンチャー企業の女社長・葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始めた専業主婦の小夜子。二人の出会いと友情は、些細なことから亀裂を生じていくが……。多様化した現代を生きる女性の姿を描く感動の傑作長篇。第132回直木賞受賞作。(裏表紙引用)

 



直木賞受賞作・・・?

 

「八日目の蝉」「森に眠る魚」「紙の月」「空中庭園」などなど、角田さんのヒット作はどれも素晴らしかったが、本書はあまり響かなかったかな。。。あらすじから想像した、思っていた内容とは違ったというのが大きいかもしれない。

 

3歳の娘を抱え5年ぶりに仕事を始めた小夜子は、ハウスクリーニング業を請負う会社社長・葵が同じ大学卒生だったことに縁を感じ、無事採用される。2人は気が合い仕事は順調だが、子育てに注力出来なくなったため小夜子の夫や義母はいい顔をしない。一方葵には普通と違う秘密の過去があり――。

 

小夜子(現在)と葵(過去)が交代で語り手となる構成。うーん、いつもなら女同士のイザコザや若き日の暴走などのどこかに同調して楽しめるのだが。今回の登場人物は誰も自分とリンクしなかった。家出した女子高生同士でラブホを渡り歩いていたからって同性愛だ!ってなるかな?とか、実際にこんな面と向かってイヤミばっかり言ってくる姑っているんだろうか?とか、引っかかる点が邪魔をして素直に読めなかったなあ~。学生時代のイジメの心理も、今の子は知らないけど、私の母校ではなかったんだよね。。職場でいない人の悪口になる、なんかはあるあるだなと思ったけど。本書のテーマである「何のために私たちは年をとるのか」の答えが「誰かと出会うため」というのも、もう新しく誰とも知り合いたくない私にはピンと来なかった。これ言っちゃ終わりだけど。

 

立場が違う人や自分も状況が変わればどこか変化するかも。それまでこれは封印。