すべてが猫になる

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ウサギの天使が呼んでいる  (ねこ3.8匹)

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ショッピングサイト“ほしがり堂”を経営する深町ユリオ。節操なく色々なモノをほしがり、方々から集めたガラクタ(お宝)をほしい人に売っている。そんな彼はお宝をゲットしに行くと、なぜか必ず事件に巻き込まれてしまう!身元不明のゾンビの死体の謎、ゴミ屋敷に隠された秘密など、ほしがり探偵が苦労人の妹と共に、お宝をめぐる数々の事件に挑む。ポップな連作ミステリ。(裏表紙引用)

 

 

前知識はないが雰囲気が可愛かったので読んでみたが、うん、気に入った!ゆるめの日常系かと思ったら意外と殺人事件が多いし推理もガチガチではないがまとも。文章が軽くて読みやすいし、キャラクターも立ってる。

 

探偵役はフリーライター兼「ほしがり堂」の店主、深町百合夫(ユリオ)。趣味が高じて種々様々なガラクタをネット販売しては新たなガラクタを仕入れている。叔母名義の1DKのマンションにはボウリングのピンやアメコミのフィギュアでいっぱい。パワハラを苦に退職し、無職となった妹のさくらがそんな兄と同居することになって、兄の変態コレクション集めと顧客の関わる奇妙な事件に巻き込まれる日々。

 

設定が特殊なので事件も特殊。怪奇居酒屋だのスケルトン企画展だのゴミ屋敷だの顔出し看板だのオルメカ文明だの、普通に生きてたら関わらない世界ばかりなので読んでいて飽きない。とにかく行く先々でほしがるユリオを諌めるさくらとの掛け合いも楽しいし、ユリオの探偵ぶらない自然体な感じもいい。変人だけど。売り渋る人からしか買わなかったり、ほしがるべきところじゃないところでは一歩引いたりと芯が通ってるあたりも好きだった。

 

こりゃタダモンじゃないぞ、と思っていたらこの作家さん結構なベテランなのね。読んでないけどよく本屋で見かける「浜村渚の計算ノート」シリーズの人だった。と納得していたら本人解説を読んでさらに腑に落ちた。麻耶さんの探偵についてのポリシーをかなり参考にされたらしい。続編出てるのですぐ手に入れなくては。