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刑事の子  (ねこ3.6匹)

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十三歳の八木沢順は、刑事の父・道雄と東京の下町に引っ越した。慎吾という友人もでき新しい生活に慣れたころ、町内で奇妙な噂が流れる。“ある家で人殺しがあった”と。そんな矢先、荒川でバラバラ死体の一部が実際に発見されてしまう。更に、順のもとに事件の犯人を知らせる手紙が!?刑事の子・順は捜査に乗り出す!宮部みゆきの初期傑作が装いも新たに登場。 (裏表紙引用)

 


「東京下町殺人暮色」の改題書。まあ「刑事の子」のほうが売れそうではあるが、気づかずに再読してしまったという人をチラホラ見かけたので改題は出来ればして欲しくない。。


本書は東京の下町を舞台にしたミステリーだが、主人公が中学生の少年という点が変わっている。「刑事の子」である順と友人の慎吾が、近所に住む画家がバラバラ殺人に関与しているのではないかという噂を元に捜査を始めるというお話。13歳の少年2人だからと言ってなかなかバカにできない。実際に画家の家にお邪魔させてもらったり、怪文書を発見したりと大活躍。暴走しないように家政婦のハナが肝心なところで手綱を握っているのも良かった。実際にはこのハナが探偵役なのかなと想像したが、そういうことではないのね。

 

テーマとしては少年法の落とし穴を扱っているので、この時代でも現在でも問題は消えていないのだなと実感。少年犯罪自体は減少しているのかもしれないが、人として当たり前の感情を育めなかった少年というのは不気味で本当に恐ろしいね。少年時代はおとなしくてもいずれはそのまま大人になるわけだし。色々考えるところのある良作でございました。人情ものとしても○。