すべてが猫になる

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誰かが嘘をついている/One of Us is Lying  (ねこ3.7匹)

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カレン・М・マクマナス著。服部京子訳。創元推理文庫

 

放課後の理科室で、5人の高校生がルール違反の罰で教師に作文を書かされていた。だが突然、生徒の1人サイモンが苦しみだし、病院搬送後に死亡する。検死の結果、警察は事件性があると判断した。サイモンは生徒のゴシップを暴くアプリを運営しており、ほかの4人は全員が彼に秘密を握られていたのだ。4人は順繰りに事件について語っていく。いったい、誰が何を隠しているのか? (裏表紙引用)

 

 

初挑戦の作家さんの第一作。前知識はないがタイトルとあらすじだけで面白そうだと思って決めた。

 

高校内のゴシップ・アプリ<アバウト・ザット>を運営している生徒サイモンが殺された。彼に恨みを持つ4人の生徒の目の前で、自身のアレルギーであるピーナッツオイルが彼が水を飲んだコップに混入されていた――というシンプルな内容。4人の容疑者たちがかわるがわる語り手となり、事件や自分自身の生活、思いを吐露していく。優等生と思いきや問題用紙を盗んでいた者、ドラッグを密売している者、ドーピング疑惑をかけられた者、恋人の友人と寝た者。それぞれの個性が違い、秘密を隠し持っているのだが、単なる謎解きものと違って彼らがその出来事を通じて日々内面が変化していくのが1番の読みどころだろう。青春小説と呼ばれる由縁もわかる。お国柄の違いもあり、若い頃の自分を当てはめて共感とは簡単にいかないが、若さゆえの無謀さや視野の狭さは共通するところだろう。彼らが徐々に心を通わせてゆくのも良かった。

 

残念な点と言えばやはりミステリ的にお粗末だったところ。普段あまり創元系にそこは求めないが、本書はそちらを売りにしているジャンルだったので少々残念。あと、長すぎるかな。。面白くなってきた頃には飽きてきた。