すべてが猫になる

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私はあなたの瞳の林檎  (ねこ4.2匹)

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ずっと好きで好きで仕方がない初恋の女の子。僕の告白はいつだって笑ってかわされる。でも、今好きなものを次なんて探せない!(「私はあなたの瞳の林檎」)。いいものは分かる、けど作れない。凡人な美大生の私が、天才くんに恋しちゃった!憧れの人と付き合う楽しさと苦しさを描く(「ほにゃららサラダ」)。僕が生きていることに、価値はあるのだろうか。僕は楽しいけど、他の人にとっては?答えを教えてくれたのは、勇敢な二人の女の子だった(「僕が乗るべき遠くの列車」)。2ヵ月連続作品集刊行、1冊目・恋篇。思春期のあのころ誰もが直面した壁に、恋のパワーで挑む甘酸っぱすぎる作品集。(裏表紙引用)



舞城さんの新刊はなんと恋愛小説集。次回は「家族篇」ってことで二ヶ月連続刊行らしい。恋愛ものか~どうかな~~と少し気が引けて読み始めたがしっかり舞城世界だった。1話目の中学生は毒親に悩む女の子に夢中の少年が「相手と付き合いたがらない」という究極の純愛を貫くし、2話目の美大生は天才肌の青年に片想いしながら才能のない自分と芸術の本質の狭間で揺れ動くし、3話目は物事に対して価値を見いだせない少年が2人の女子に翻弄され人生の真実にたどり着くし。

 

特に書き下ろしの最終話は私が一生かかっても悟りきれないところまで到達しちゃってる。舞城さんの文章、なんでもない名前を呼びかけるだけのくだりでも漫画みたいにコマが浮かぶんだよね。よ~く考えたら林檎ちゃんは男を振り回す小悪魔だし、美大カップルはただのセフレだし、物の価値が分からない男の子もそれって他に同じ考えの人がいたらたちまち意味がなくなる程度の、はしかみたいなもんだし。
それだけに、読んでる誰もが過去を思い出して顔が赤くなるような、血が通ってる作品になったんだろうなあ。

 

次の家族篇もきっと感動させてくれるだろうと確信。発売日まだかな。