すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

ガイコツと探偵をする方法/A Skeleton in the Family  (ねこ4匹)

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レイ・ペリー著。木下淳子訳。創元推理文庫

 

大学講師の職を得て、高校生の娘を連れ故郷へ戻ってきたジョージアは、親友のシド(世にも不思議な、歩いて喋る骸骨だ!)と再会した。人間だったときの記憶のない彼が、見覚えのある人物と遭遇したのをきっかけに、二人はシドの“前世”を調べはじめる。だが、その過程でできたての死体を発見、殺人事件も背負いこむことに。たっぷり笑えてちょっぴり泣ける、ミステリ新シリーズ。(裏表紙引用)

 


初挑戦の作家さん。ホネもの好きなので、たいした前知識なく読んでみたらなかなかの当たり。作風はほのぼのとしたコメディー+真面目なミステリー。表紙イラストでイメージする内容通りじゃないかな。

 

ヒロインは大学非常勤講師のシングルマザー・ジョージア。終身在職権がないために何度も引越しをしなければならず、高校生の娘・マディスンには申し訳ないと思っている。ジョージアの家では屋根裏部屋にどこから来たのかわからないガイコツの'シド'が暮らしていて、マディスンだけがシドの存在を知らない。姉のデボラはシドの存在を認めず、スルーし続けている。ある日ジョージアたちがコスプレしたシドと共にアニメ・コンベンションに参加したが、シドが生きている時に知っている女性を見たと言い出し――。


と、なかなか詰まった内容なのだが、気になるのはやはりシドの出自と、調査中に出くわした女性の他殺死体の謎。シドの過去と絡んでくるのだけど、こちらとしては最初からシドの可愛さと面白さに夢中になっているわけだから何かが判明したりシドが悩んだりするたびにビックリしたり切なくなったり。シドとジョージア家族との心のつながりを読むほうがメインと言ってもいいかもしれない。幼い頃自分を助けてくれたシドが悪い人のわけがないと言い切るジョージアが泣かせる。シドはちょっと気難しいところもあるけど、ノリが良くて優しいところがいいんだよね。気が緩むと骨のつながりも緩むのが笑えるし。まあ、キメ台詞の「ビテイコツ!」はあんま翻訳ものだと面白さが伝わらないけど。ミステリ的にはちょっと動機が具体的じゃないのでイマイチ不明瞭だけど、なかなかじゃないかな。

 

もう第2弾が出ているようなのでもちろん読むつもり。原書では3作まで出てるらしいので全部出て欲しいなー。