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ソロモンの偽証 第Ⅲ部 法廷  (ねこ4匹)

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宮部みゆき著。新潮社。

 

事件の封印が次々と解かれていく。私たちは真実に一歩ずつ近づいているはずだ。けれど、何かがおかしい。とんでもないところへ誘き寄せられているのではないか。もしかしたら、この裁判は最初から全て、仕組まれていた―?一方、陪審員たちの間では、ある人物への不信感が募っていた。そして、最終日。最後の証人を召喚した時、私たちの法廷の、骨組みそのものが瓦解した。(紹介文引用)

 


終わったど~~~~!
トータルで18日かかった。おつかれ自分。やっぱ第一部に一番時間かかったかな。設定や人物をまず叩き込まなきゃいけなかったから。第三部は法廷のシーンがほとんどなので、セリフが多かったからサクサク進んだ。特に最終200ページは怒涛という感じでほぼ一気読み。私は通常、こんなに長い本、1冊ごとに違う本を読んで気分を変えたりするもんだけど。。全くそんな気にならなかった。長いな~はよ終われ~とかもなかったな。


※物語の内容に触れています。未読の方はお気をつけください。






なんというか、ミステリ的な技巧が云々というより人間ドラマに厚みがある作品だった。元々、結果が分かっている物語なんだよね。(俊次は犯人でない、三宅樹理の告白状はウソ、神原くんは被害者の関係者だ、など)そういう意味では正直予想の範囲内すぎて物足りなかった。もっと驚愕の真相が隠れているのかと期待していたから。

 

でもその他の点が良かったので充実感はあった。特に神原くんが俊次の悪行を暴露し追い詰めるシーンとか、三宅樹理が神原くんの為に嘘を突き通すシーンには胸アツ。大嫌いだと思っていた三宅さんにこういう感情を抱くことになるとは。。自分にビックリ。この子もある側面では被害者だからね。

 

俊次は無実かもしれないけど、自分が暴行された増井くんの立場だったら許せるかなあ。中学生的には健全で正しい結論を出したと思うけど…自分だったら、自分や大切な人を半殺しにした人間が更生して幸せに暮らしましたなんてイヤだなあ。。せめて謝るシーンが欲しかったな。そこは想像で補うけれども。まあそこを描かないところがリアルだよね。私が小学生の頃、いじめっ子が担任に吊し上げにされるという時間があって。(クラスの全員がその子に何をされたかを言うという)で、そのいじめっ子がボロボロに泣きじゃくてたんだけど、子どもながらに私は「この子にもこういう感情があるんだ」と思ったのでした。俊次の場合もそうかもね。こうなるとまさかのソロモンは三宅さんなのかなあ。


ところで、中学生がこんな完成度の高い裁判出来るんかい?という意見も多いようだが。。私もそう思う(笑)。つっかえもせずどもりもせず正しい日本語でスラスラ、、、原稿を読み上げるだけじゃないんだからねえ。。まあ、そんなリアルな文章読みにくいけれど。知り合いに成績オール5で大人顔負けの議論をする天才中学生いるからこういう子がいても不思議ではないけれど…せいぜい学年に1,2人じゃない?^^;

 

ちなみにキャラクターでは廷吏のヤマシンと神原くん、床屋のケープを被った判事の井上くん、津崎校長が好きでした^^。