すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

ソロモンの偽証 第Ⅰ部 事件

イメージ 1

宮部みゆき著。新潮社。

 

クリスマスの朝、雪の校庭に急降下した14歳。彼の死を悼む声は小さかった。けど、噂は強力で、気がつけばあたしたちみんな、それに加担していた。そして、その悪意ある風評は、目撃者を名乗る、匿名の告発状を産み落とした―。新たな殺人計画。マスコミの過剰な報道。狂おしい嫉妬による異常行動。そして犠牲者が一人、また一人。学校は汚された。ことごとく無力な大人たちにはもう、任せておけない。学校に仕掛けられた史上最強のミステリー。(紹介文引用)


ついに手を出した宮部さんの大長編。単行本にして約750ページ×3冊という長い道のり。最近、しっかり本を読みたい欲が湧いて来たので充実した読書が出来て嬉しい。重さだけはどうにもならないが^^;。

 

まだ3分の1読んだ段階なので、ほとんど人物紹介&あらすじみたいな記事になるが…自分用の覚え書きも兼ねて。なので未読の方はお気を付け下さい。

 

城東第三中学で起きた、2年A組の不登校生徒柏木卓也の不審死事件。彼は自殺だったのか事故だったのか、はたまた殺人なのか。第1部はそれを解き明かすためにクラスメイトの優等生・藤野涼子が中心となって立ち上がるまでの物語。事件が起きるまでは早いが、卓也の身内やクラスメイト、その身内、教師、マスコミ、刑事1人1人を深く掘り下げるため非常に展開はゆっくりだ。教師の隣人まで出てくる。しかしこの描写がさすがに濃く色が付いているので人物の見分けがつかないなんてことはないし、ややこしくて分からなくなるなんてこともなかった。

 

学校で生徒が亡くなるという事態なので、その親たちや教師らの反応は様々ながらもある程度は予想通りに描かれる。そこに、嘘の告発状を出す生徒や担任教師の郵便を盗む隣人、親を殺そうとする生徒、不良生徒の親の横暴、勇み足の記者などが交錯し事件がどんどん悪い方へ向かっていくのがイラつく(笑)。まわりが余計なことばかりするため、より事件を複雑化しているような。。だからと言って、学校や警察に任せていても真相が判明するとはとても思えないからなあ。校長や警察も一生懸命やっている人はいるのだけど、だからと言って他にどうやればいいのか分からないし。

 

告発状を出す女生徒の身勝手さ(ニキビを自分で悪化させているところも含めて)、不良生徒の親の力や恫喝でしか物事に向き合えない幼稚さ、正義感の名のもとに他人の心を荒らす記者、図書館で痴漢をはたらくクズ男まで、とにかく不愉快人間のオンパレード。被害者(?)の卓也ですら、なんだかイヤな奴だったしなあ(真相はまだわからんが)。。担任の森谷先生は気の毒だったけど、好感の持てる人物とは言い難いし。でも隣人が離婚に応じず事を悪くしているのみならず犯罪行為に走る姿にはほんとに吐き気がした。中学生はまだ仕方ないところもあるのかなあ、なんて思ったりするけど。とにかくこの世代はほんとに対処が難しい。


スピード感はまるでないが、第一部にしてとにかく面白い。卓也がどうして死んだのか、今の段階ではサッパリ分からないが…「犯人」というのがいるんだよね?(予想)それを涼子たち中学生がどう解決に導いていくのか?結構ハマっているので映画のキャストを見てイメージを膨らませつつ、このまま第2部に進むつもり。