スージィこと内野智佳は、某国立大学工学部化学工学科の秘書。彼女の勤める大学周辺で暴行傷害事件が多発する。智佳の周辺でも不気味な出来事が続き、友人のルナも被害に遭ってしまうが…。大学の工学部を舞台に、それぞれに秘密を抱えた6人の視点で連続殺人事件を追う、ちょっとフーガでホラーな新感覚ミステリィ。解説はコジマケン(描き下ろしマンガ)。（裏表紙引用）
結構昔の作品だね。文庫なのに２段組だけどイラストが入ってて、何より森さんだから読みやすい。登場人物が次々交替する構成で人数も決して少なくはないけれど読みやすい。
大学ではヒロインのスージィ（内野智佳）と三枝が夫婦だということを隠しているところが面白さのキモかな。こういうタイプの作品はちょっとでも何か書くとネタバレの危険性があるから…。全員キャラが立ってて、舞台挨拶ふうに終わるあたり、ミステリーだし人殺しは起きるけれど殺伐としていないのがいいな。イラストも凄く森さんワールドに合ってるし。犯人の意外性とかよりも（なかなか今の時代にそういうのはないし）、世界観だけで引っ張れる感じ。結構これすき。
