すべてが猫になる

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ひとがた流し  (ねこ4匹)

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十代の頃から、大切な時間を共有してきた女友達、千波、牧子、美々。人生の苛酷な試練のなかで、千波は思う。「人が生きていく時、力になるのは自分が生きていることを切実に願う誰かが、いるかどうか」なのだと。幼い頃、人の形に作った紙に願い事を書いて、母と共に川に流した…流れゆく人生の時間のなかで祈り願う想いが重なりあう―人と人の絆に深く心揺さぶられる長編小説。(裏表紙引用)

 


「月の砂漠をさばさばと」に登場した、さきちゃん再登場。もうおっきくなってます。学生時代からの仲良し三人組・千波、牧子、美々がアラフォーになってからの日々。全体を通して凄く「普通」の日常が描かれていて、それでも退屈しないのが凄い。色々と響く言葉がたくさんあったなあ~。解説が必要なら小説や絵などの芸術である必要はないよね。

 

牧子、美々の離婚の理由なんかも「性格の不一致」っていう言葉にすればありふれたものだけど、それぞれのエピソードに血が通っている感じ。北村さん、男性なのによく女性側の感覚で描けるなあ。性別とか超えて素晴らしい人なんだろうね。それにしても、お互いのテレビの音とかかける音楽を「うるさい」って思うようになったら終わりなのかな。(こういうところに目を付けるあたりが。。)

 

千波はアナウンサーとして紆余曲折ありながらも順調に行くのかな、と思っていたけどああいうことになるとは悲しい。自分だったら、こういう風にカッコ良く送り出すことは出来ないな。何とは言わないがタイトルやあらすじだけを見て匿名で内容を批判するような人間にはなりたくないと思った一冊でした。やっぱ北村作品は凄いね、心が洗われる。