すべてが猫になる

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神は銃弾/God is a Bullet  (ねこ4匹)

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ボストン・テラン著。田口俊樹訳。文春文庫。

 

憤怒―それを糧に、ボブは追う。別れた妻を惨殺し、娘を連れ去った残虐なカルト集団を。やつらが生み出した地獄から生還した女を友に、憎悪と銃弾を手に…。鮮烈にして苛烈な文体が描き出す銃撃と復讐の宴。神なき荒野で正義を追い求めるふたつの魂の疾走。発表と同時に作家・評論家の絶賛を受けた、イギリス推理作家協会最優秀新人賞受賞作。(裏表紙引用)

 


初読み作家さん。全く前情報がないのでどんなもんかと思いながら読み始めたのだが、文章が実に独特。「~~る。~~る。」という感じに細切れで途轍もなく読みづらいという。会話にもレトリックが多く、ハードボイルド風にイキってんのかな?と勘ぐりたくなるぐらい。実際、訳者はこの小説が過去翻訳した本の中で1番難解だったらしい。

 

まあしかし、それはすぐに慣れた。

 

設定は普通に面白い。カルト集団に誘拐された14歳の娘を助けるために、デスクワークが主だったボブ保安官と元カルト集団のメンバーであり元ジャンキー女のケイスが手を組んで旅をするというなかなかないお話。カルト集団のやる犯罪はえずきたくなるほどいかがわしく許しがたいものだし、ケイスの取り巻いていた環境が邪悪で不潔で絶望的すぎてげんなり。普通のサスペンスもののように「捜査」ではないので、ヒロインが暴行されたり娘が麻薬中毒にされたり主人公が顔に刺青を入れたりと度肝を抜く展開が続く。

 

ナントカ賞を獲るほどには文句なく面白いが、ケイスの言葉遣い(いちいち物や人に「くそ」とか「ち○○○」とか付けて話す)にウンザリしたのも確か。この人、カッコイイヒロインとして賞賛されているみたいだけど私はちょっとカンベンだなあ。映画ならともかく。そして主人公のボブが全く個性がない。あらすじに「憤怒」とか書いてあるが、とてもそうは見えなかったな。映像ならこの役誰でもできそうだ。。

 

あ、いや、面白かったのよ^^;ちょっと異色だったので評価の仕方が分からないだけで。どんでん返しがあるでもないし。でも次も必ず読もうと思うぐらいには良かった。