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ずっとあなたが好きでした  (ねこ4.2匹)

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歌野晶午著。文春文庫。

 

バイト先の女子高生との淡い恋、転校してきた美少女へのときめき、年上劇団員との溺れるような日々、集団自殺の一歩手前で抱いた恋心、そして人生の夕暮れ時の穏やかな想い…。サプライズ・ミステリーの名手が綴る恋愛小説集は、一筋縄でいくはずがない!?企みに気づいた瞬間、読み返さずにはいられなくなる一冊。 (裏表紙引用)

 


歌野さんの連作短篇集。こんな恋愛小説ばりの小っ恥ずかしいタイトルだが、これは歌野作品。もちろん一筋縄ではいきません。

 

13篇。よくここまで色々なタイプの小説を描き分けられたなーと。中学生であることを隠してスーパーでバイトを始める少年、集団自殺に参加した男性、大学の演劇サークル内の恋愛トラブル、ラジオ投稿が趣味の高校生と友人との恋のトライアングル、ネット掲示板で知り合った男女の2人だけのオフ会などなど、恋模様はさまざま。ネタが仕込まれている作品がやはり多い。特に私が驚いたのは「ずっとあなたが好きでした」「黄泉路より」「別れの刃」「ドレスと留袖」「舞姫」。


実はわたくし。「舞姫」を読んだあと、解説を読んでしまい。。。。この小説全体に仕掛けられたトリックを知ってしまったという。。。もちろんその時点で充分ビックリしたのだけど、本来ここで驚かなきゃいけなかった「綿の袋はタイムカプセル」で真顔。。。


でもでも。連作が最後に繋がった!というありきたりのネタだけではなく、ここまで突拍子もない仕掛けを思いつくのって歌野さんだからだと思う。「葉桜~」超えとは言わないけれど、充分成功していると思うし。小説としてはキャラクターにムカっとくるところもあったけれど、ミステリとしては傑作の部類に入るのでは。ぜひこの作品をアメトーークで紹介して欲しい。