すべてが猫になる

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屍人荘の殺人  (ねこ4.2匹)

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今村昌弘著。東京創元社

 

デビュー作にして前代未聞の3冠!
『このミステリーがすごい!2018年版』第1位
『週刊文春』ミステリーベスト第1位
『2018本格ミステリ・ベスト10』第1位

神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究部の夏合宿に加わるため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねた。
合宿一日目の夜、映研のメンバーたちは肝試しに出かけるが、想像しえなかった事態に遭遇し紫湛荘に立て籠もりを余儀なくされる。
緊張と混乱の一夜が明け――。部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。しかしそれは連続殺人の幕開けに過ぎなかった……!! 
究極の絶望の淵で、葉村は、明智は、そして比留子は、生き残り謎を解き明かせるか?!
奇想と本格ミステリが見事に融合する第27回鮎川哲也賞受賞作! 

 

 

「皆が読んでるから」という理由で本を読んだの久しぶりな気がする。ここまで話題になっていたらスルー出来ないでしょ。「ネタバレされる前に読め」って書いてあったし。確かにこれ、早く読まないといずれネタバレに遭遇すると思う。なにネタの作品か知ってるか知らないかでは面白さが半減するんじゃないかな。だって、本筋はエレベーターのトリック以外大したことないもん。

 

~~~以下、まっさらな気持ちでこの作品を読みたい方は読まないほうがいいかも。(大事な部分は伏字にしてます)~~~






この作品が凄いのは、○○○の要素と本格ミステリとしてのロジックを見事に結びつけたところにある。だから、トリックが凄いとかそういう所を賞賛する作品ではないと思う。○○○を出してきた時点でトリックが普通でもこの作品は成功なのだから。○○○の要素をいくら批判しようと、結局先にやったもん勝ちのコロンブスの卵じゃないかなあ。

 

個人的には女性キャラクターがいかにも男性作家の理想とする女性然として描かれていたのがかなりのマイナス。あと、動機。こりゃないでしょ。憎しみはわかるが、犯人にも家族はいるんだろうし、この立場でそこまで捨て身になれるはずない、普通なら。異常な人だったと考えればいいのかな?


と、いうわけで小説としてはモロモロ合わない部分はあったものの、本格ミステリとして歴史に爪痕を残す貴重な作品になることは間違いなさそう。