すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

お引っ越し  (ねこ3.7匹)

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真梨幸子著。角川文庫。

 

内見したマンションはおしゃれな街のおしゃれな造り、環境も間取りも条件も申し分ない。ここに決めてしまおうか?しかし白い壁に小さな穴を見つけたキヨコは、そこからじわじわと“イヤな感じ”が広がっていくのを感じるのだった…。片付かない荷物、届かない段ボール箱、ヤバい引っ越し業者、とんでもない隣人―きっとアナタも身に覚えがある引っ越しにまつわる6つの恐怖。イヤミスの女王の筆が冴えるサイコミステリ! (裏表紙引用)

 


真梨さんの文庫新刊。おっと珍しくイヤミスではない。「引っ越し」をテーマにした6編収録の短篇集。

 

「扉」
キヨコは今住んでいる部屋に以前殺人犯が住んでいたことを知り新築物件を内覧する。目まぐるしく状況が変わるたびに夢オチ?!とガッカリ。凝っているけど飽きてくるかな。

 

「棚」
引っ越し準備中、すっかり忘れていた棚の存在。その中には幼稚園の頃に描いた存在しない父親の似顔絵が入っていた。これは見事に引っかかったなあ。最初分からなくて解説のお世話になった。

 

「机」
二児の母マナミは、アオシマ運送の電話番の仕事を見つけるが。怪しい会社の描写にドキドキするも、冒頭の事件と繋がって真相が明らかに。これも騙された。

 

「箱」
OLのユミエは、会社内の引っ越しで見知らぬ段ボールに翻弄されるが。1番真梨さんらしいお話かな。女の結束怖い、なんてレベルのお話ではなかった。

 

「壁」
唯一の男性視点。ハヤトは、職場の同期イトウが隣人の新婚夫婦の騒音に悩まされていることを知り。。
ハヤトもイトウも同じ種類の恐怖オチ。想像がついても怖いものは怖い。

 

「紐」
引っ越し魔のサヤカは、ホラー掲示板が大好き。今までのお話と繋がっているね。男言葉でレスをつけるサヤカに普通に恐怖を感じたけどあるあるなんだろうか。紐の正体に吐き気が。

 

「解説」
なんとこの短篇集、解説までもが小説となっていて、これを読んで初めてそれぞれのお話が完結する。面白い試みだと思う。この小説を読むなという警告があるけど、いやもう全部読んじゃったし。

 

以上。
全編にアオシマという管理人が登場し、この人の存在感がいいエッセンスになっている。正体はわからないまま。しかし同じ名前の読者やアオシマさんという知り合いがいる読者はちょっと気の毒かも。。