すべてが猫になる

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誓約  (ねこ3.7匹)

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家庭も仕事も順風満帆な日々を過ごしていた向井聡の元に、一通の手紙が届く。「あの男たちは刑務所から出ています」。便箋には、ただそれだけが書かれていた。送り主は誰なのか、その目的とは。ある理由から警察にも家族にも相談できない向井は、姿見せぬ脅迫者に一人立ち向かうが。故郷、家族、犯した罪…。葬ったはずの過去による復讐が、いま始まる。 (裏表紙引用)

 


イタリアンバー?の経営者・向井聡には後ろ暗い過去があった。顔に大きなアザがあり、両親に捨てられ、苛められ、やがて暴力的な人間へと成長していった。強盗を繰り返し、ヤクザに半死半生のケガを負わせた向井は命を狙われ逃亡する。そこへ偶然出会った老婆との約束が、聡の人生を大きく変えた――。

 

犯罪者は更生し、幸せになる権利があるのかを問いかけた作品。
「ない」と断言する気はないが(そんなもの人によるし)、この作品の主人公・向井の場合はどうかと言うと正直更生したのか疑わしいなと思った。妻子に恵まれ、過去の罪を反省しているのは伝わったが、元々の暴力性は治っていないと感じたので。もちろんその上で、罪を背負いながら良い方向へ向かって行けるならそれがベストだが。

 

読ませる勢いはここまで読み続けて来た薬丸作品でトップクラスだし、ラストの意外性も過去作に比べたらなかなか。老婆の復讐相手である2人の男が現在どれほど反省、後悔しているのか、その人となりが全く描かれていなかったのが残念。私が妻ならちょっとさすがにこの過去は重すぎるので離婚だなあ。手に入れたものを失った時に元に戻る人間って信用したくない。。。